ISO14001認証取得事例
山形県山形市 株式会社シェルター

2001年7月 QMS(品質マネジメントシステム)−ISO9001認証取得
2004年5月 EMS(環境マネジメントシステム)−ISO14001認証取得

日本初の接合金物の開発で開花した木造建築メーカー。
「100年住宅」から「大規模木骨建築」の新分野にも快進撃中。

ご協力:
木村 一義 様 代表取締役

・「住まいは人生の原点」が、仕事の原点
「シェルター」は、山形を拠点とする、創業30年の木造住宅メーカーである。社長の木村一義氏が、アメリカ留学時に2×4(ツーバイフォー)工法で建てた木造住宅の魅力を知り、帰国直後の昭和49年、2×4木造住宅のメーカーを設立したのがスタートである。
同社が全国的に注目を集めたのは、創業の同年に特殊な接合金物の開発に成功したことによる。KESと呼ばれるその接合金具は木の柱と梁を接合するためのコネクターで、柱や梁にほぞを切る代わりに、この接合金具を埋め込み、柱と梁をつなぐ。すると、これまでにない強度が実現され、従来は無理だった大きな空間を持つ木造住宅や、木造大型建造物の建造が可能になるというものである。
2×4工法のパネルと軸組工法の柱と梁、そして鉄骨構造の強さ。このいいところ取りをしたハイブリッド工法がKES構法であり、この構法をもって、同社は「強くて広い家」を作る住宅メーカーとして定評を得ていったのである。
木村社長は言う。「私はアメリカ留学中や帰途に、カナダやヨーロッパの住宅を見て回ったのですが、そのときに強く思ったのは、『住まいは人生の質を決める』ということでした。住まいが豊かなら人生や暮らしも豊かになるし、それが貧弱であれば、どんなに外見を装ってもやはり本当の豊かさやゆとりは生まれません。つまり、住宅はクオリティー・オブ・ライフの原点であり、頂点なのです。それを痛感して帰国した私は、日本にも本当の住宅文化を創りたいと、心から思いました。それは実感から生まれた強い志でした」。
ところが、現在、日本の家は平均すると築30年程度で取り壊されている。とすると、一生に2回ぐらいは建て替えや住み替えをする必要があることになる。これは住人の人生にとっても、資源的にも、そして環境的にも大変なロスでありストレスだ。言い換えれば、資産ではなく耐久消費財化している日本の住宅が、日本人のクオリティー・オブ・ライフを低めているということもできる。
それに気づいた木村社長が打ち出したのが、「KES構法」と「国産の木からできた集成材」のコンビネーションで作る「100年住宅」という環境品質のテーマでありコンセプトだった。
一般に樹木は空気中の二酸化炭素を吸収して樹木内に炭素を固定化させ、酸素を排出している。ところが、ある程度の成木になると炭素を固定化することが緩慢になってしまう。そこで、成木は伐採し、その代わりに新しい若木を植えて、山の機能を再び甦らせることが必要になる。ところが、近年、日本の山は国産材を使うことが少なくなったために、伐採や植林が行われなくなり、荒れ放題になってしまった。この山の破壊が環境保全に深刻な影響をもたらしていることは、あちこちで指摘されているとおりである。
そこで、木村社長は、炭素が固定化された成木を建材用に買えば、商品価値を上げるための間伐も行われるし、山がほったらかしにされずに、いつまでも健全に保たれるはずだと考えた。また集成材を使うと、比較的安い値段で太い柱ができる。また本来ならゴミになってしまう間伐材も活用できる。つまり集成材で作った太い柱や梁を、自社独特のKES金具で接合し、どっしりと強く耐久力があり、そして柱に邪魔されない広い空間をもつ、「100年住宅」を作り、広めることは、営利事業にとどまらず、社会貢献になることは間違いなく、ひいてはシェルターに社会的な存在意義をもたらすと確信したのだ。
そのことを証明する貴重なエピソードがある。10年前に起こった阪神大震災のとき、被災地域内には、KES構法のフランチャイズ工務店が建てた住宅が73棟あったのだが、そのうちのただの1棟も倒壊しなかったのだ。神戸市灘区の住宅密集地で、周囲の鉄筋コンクリート3階建てマンションでさえ倒壊しているのに、ペンシル型のシェルター住宅だけがピリッともせずに建っているという光景が大きく報道されたこともある。「住まい」という命の器、大事な財産を失うか失わなかったかの岐路で住人を救ったことは、シェルターとその提携工務店の大きな誇りであり、信頼の証左となった。

・100年住宅のフランチャイズ化
こうした自らの志の正当性を確信し、それを日本全国に広めることが必要だと考えた木村社長は、同志を募る方法として「KES構法のフランチャイズシステム化」を行うことにし、「地元の木とKES構法を使って、資産となる100年住宅を作り、地元の人のクオリティー・オブ・ライフを高めよう」と、全国の工務店に呼びかけた。その結果、現在、全国に約80の提携工務店のネットワークができている。
提携工務店には、シェルターの工場から、設計図に基づいてKESコネクターを装着し、プレカットされた木材が供給される。提携工務店は、それを使ってシェルター規格の100年住宅を建てるという仕組みだ。
「100年住宅」という具体的な環境テーマ(コンセプト)を打ち出したことは、このフランチャイズ事業の進攻において、大きな効果をもたらした。提携工務店は、KES構法という具体的な武器を手にしたうえに、「環境を考える工務店」というコンセプチャルな打ち出しができるようになり、時代性も手伝って、消費者の支持を得やすくなったのだ。逆から見れば、そういう時代性や環境経営の重要性に気づいている優秀な工務店ほど、フランチャイズ店になってくれやすく、それは同社にとっては願ってもない提携先であることが少なくない。環境テーマの打ち出しは、健全な提携先のセグメントにも貢献しているというわけだ。

・地元ゼネコンとの提携で木造建造物へ
地域の自然環境保全と環境経営を合体させた企業テーマ「100年住宅」の打ち出しがもたらした大きなビジネスメリットがもう一つある。それは、大規模木造建築物の受注が増えたことだ。
環境に対する関心や「地産地消」の風潮が高まる中で、近年、町や村から庁舎や校舎、福祉施設、公民ホールなどを、シェルターの提唱する「地場産の木材とKES構法とのコラボレーション」で作りたいというオファーが増加したのだ。
こうして、建築面積約750坪、延床面積約1300坪の、日本最大規模の木造庁舎「埼玉県宮代町の町役場」をはじめ、岩手県岩手町立川口小学校の木造校舎、福島県伊南村の地域交流センター(木の体育館)などが次々に完成。その空間の大きさ、手触りの暖かさ、造形の美しさに惹かれた民間企業も、レストランやチャペルなどをシェルターに依頼し、人が人を、作品が作品を呼ぶ結果となっている。
この様子を見て、現在、同社が取り組んでいる課題がある。「大型木造建物の技術サポート」だ。住宅のときと同様、各地の地元ゼネコンと提携して、全国に「木の施設」を作るという構想だ。
「これは2つの面で意義がある取り組みです。一つは、地域住民の皆さんに木の建物という素晴らしい環境を提供できること。もう一つは、地方のゼネコンさんの活性化につながるということです」と木村社長は言う。
「今、地方のゼネコンさんの多くが、公共事業の縮小と工事単価の引き下げで四苦八苦されています。しかしシェルターと提携していただけたら、価格の高低ではない別の新しい切り口をもってプレゼンテーションしたり営業したりしていただけます。そしてそれは単に営利面だけでなく、地域の産業や環境のためにもなる切り口であり、そのゼネコンさんを他社としっかり差別化できる切り口でもあるのです。つまり環境をテーマにはばたき、他にはない技術で企業ポジションを確立し、地域貢献もする、そんな戦略図が描いていただけるはずなのです」。
30年前、アメリカで立てた志が、環境テーマにしっかりと支えられながら事業化したのが、同社の特徴。理想論を実現するための方策の立て方と、その方策への環境テーマの組み込み方が見事だ。
そういう意味では、2001年のISO9001認証取得と04年のISO14001認証取得は、シェルター30年の集大成といえるだろう。そして、最近行われたQMSとEMSの統合も、実際にはそれよりさらに進んで、QMSとEMSと経営の3つが有機的に統合され、すでに実効していることから見ると、やってきたこと、すでにできていることの「まとめ」であり、確認だと分かる。こんな言動一致の同社ゆえに、審査機関の評価基準もはっきりしており、「BVQIについて最も評価している点は、QMSもEMSも経営マネジメントの一環だという姿勢がはっきりしているところ」(伊藤憲昭常務)だそうだ。

IN SCOPE JAPAN Vol.19(2005年12月発行)より

 

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