ISO14001認証取得事例
ソニーグループ

全体最適化による、より高度な環境と事業への貢献を目指して、
全世界373事業所の認証統合に取り組み中。

ご協力:
鶴田 健志 様 グローバル・ハブ コンプライアンスオフィス 環境・CSR戦略グループ シニアCSRマネジャー
柴山 哲哉 様 グローバル・ハブ コンプライアンスオフィス 環境・CSR戦略グループ シニア環境マネジャー
石野 正大 様 グローバル・ハブ コンプライアンスオフィス 環境・CSR戦略グループ

・オランダでの出荷差し止め事件が引き金に
連結従業員数16万余、年間売上高約7兆5千億円(2003年度)、エレクトロニクスやゲームビジネスで世の中に送り出すハードウエアは毎年1億台以上。この世界的企業「SONY」が、2006年3月を目標とする世界373事業所のEMS(環境マネジメントシステム)認証完全統合に向けて、現在取り組み中である。その背景や同社の目指す未来系のEMSスタイルについて取材した。
同社の認証統合の引き金になったのは、2001年10月にオランダで起こった出荷差し止め事件である。出荷差し止め命令を受けたのは、ゲーム機「PS one」。周辺機器に基準値を超えるカドミウムが混入していたことがその理由だった。その結果、当該部品の交換や測定機器の購入などで生じた費用と損失は、2002年度末までに約100億円にのぼった。
製造工場はISO14001の認証を取得しており、製造工場の属する国および地域の法規制上はなんら問題がなかったにもかかわらず、オランダの厳しい環境基準を見過ごしていたことが、この莫大な損失を生んだ。この事実に、ソニーは敏感に反応した。「現行のEMSに何か問題があるのではないか?」「EMSは本当に効力があるのか?」といった社内論議が巻き起こったのである。
この議論は、約1年間にわたり、繰り返し討議された。机上の討議だけでなく、製造工場のヒアリングなども何度も行い、現場スタッフやマネジャーの現行のEMS体制についての意見や要望も、丁寧に吸い上げられた。
その結果出た結論は大きく2つ。ひとつは「問題はISO14001のシステムそのものではなく、その運用方法にある」。そしてもうひとつは、「ソニーの世界を通じたグループ戦略のもとで、近年重要性が増してきた製品の環境対応システムを確立するには、サイトごとに取得して部分最適を目指す現行のEMS体制ではもう対応できない。これからはバードアイで俯瞰し、全体最適からブレイクダウンするスタイルのEMS体制への転換が必要」というものであった。
この結論に基づいて、新しく「GEMS(Global Environment Management System)」という構想が生まれ、会長(出井伸之氏)と社長(安藤国威氏)を含めたトップ会議での承認を経て、2003年10月「ソニーグループにおけるグローバルで一貫した環境マネジメントシステムを構築する」ための取り組み(認証統合へのキックオフ)が始まったのである。

・業種、国、事業所の境をなくす
認証統合対象は、エレクトロニクスやゲームにとどまらず、音楽、映画、金融などソニーグループ全部の373事業所。「SONY」のブランドを冠している限りは、どの業種においても「SONY」のコミットメントを達成し、ブランドイメージを守る義務があるという考えからだ。
またワールドワイド=グローバルという見地から見ると、「製品の環境側面はもっとも厳しい国の基準に合わせる」という結論になった。一見、不経済に思えるが、「実は国ごとに作り分けるよりも総体的には安価になることも多く、なによりオランダのようなケースを防げるメリットは何にも代えがたいものだ」と、GEMSプロジェクトメンバー(本社 コンプライアンスオフィス 環境・CSRグループ)は声を揃える。
もうひとつ大きな変化は、今までは事業所別だけで行われてきた取り組みや審査が、統合後は製品(ビジネスカテゴリー別)にも行われるようになることだ。もちろんこれまでも、事業部門内での製品に関する環境コンプライアンス体制は整っていたが、それまでの体制をEMSへと移行させることで、より明確な管理体制を構築することができる。
この変化のもつ意味は、実は大変大きい。たとえば、同じ製品を扱っているのにオフィスの置かれている場所が分かれているような部門がある。すると、従来の事業所別管理体制では、本来、業務と密着しているはずのEMSの指揮系統が、事業所の指揮系統にすりかわってしまう。すると管理がしにくいうえに、業務と別離した取り組みになり成果もあがりにくくなる。一方、製品担当別にすると、こうした不合理がなくなり、業務と一体化した指揮系統と目標のもとでEMS活動ができるようになる。
また、製品担当別にくくると、ある工場や事業の改善に予算や労力を集中して注ぎ、その製品担当の総計で最大の効果を創出するといった戦略的な手法も取れるようになる。つまり「(製造業なのだから)物が作られる流れでPDCAを回そう。それがいちばん効果的なはずだ」というわけである。

・「同じことをまとめてやる」ためではない
「GEMS」では、国内だけでなく世界の地域境界も越えなくてはならない。そのために、本社環境部門は、本社の意志や決定事項をうまく各国のオフィスに伝達し、協力を得るための仕組みを作る必要があった。その仕組みの要となったのが、米州、欧州、日本、東アジア、パンアジアに置かれた5つの地域環境オフィスである。本社環境部門は、この5つの地域環境オフィスとのコミュニケーション(こちらから出張しての打ち合わせや、担当者を集めての全体会議)を可能な限り密にする。そのうえで、地域内の環境マネジメントの管理や法規制の把握、コーポレート監査の実行などを委任して、地域特性に応じた効率のいい業務体制を築くという方法を取っている。
さらに、この5つのオフィスは、全世界の事業所の環境データの中間集計基地にもなっている。つまり地域内の成果や問題をまっさきにキャッチし、それを本社に中継する重要な役割も担っているのだ。
このように本社と5つのオフィスの間で、「決定」と「情報」をしっかり双方向通信させることによって、GEMSは国外においても高い実効性をもつように設計されている。
今回の取材でもっとも印象的だったのは、メンバーの一人から出た次のような発言だった。「われわれは、同じ仕組みを作り上げることそのものを目的にしているわけではありません。これまでのISO14001の活動をベースに、事業所やビジネスの領域を越えて、横断的に管理する体制を作り上げることで、全体でグループの目標を徹底し、ソニーグループとしての企業価値を高めることが目的であり、そこに興味と意欲をもっているのです」。
当然、審査機関に対する要望もコンセプチャルでハイレベルだ。たとえば、「設計部門については本社やトップの出している目標が現場の事業計画にきちんと反映されているかを診てほしいし、また海外での審査には、各国の法律の内容を十分に理解したうえであたって欲しい」と言う。統合の目的が明確だから、審査機関にもその目的意識を共有してもらわなければ、意味がないということなのだ。
「強いソニー」から「より強いソニー」へ。認証統合は、そのために選ばれた実効性のある戦術であり、使いでのあるツールなのである。

IN SCOPE JAPAN Vol.15(2004年9月発行)より

こちらもご参照ください
ソニー株式会社(2006.8月号 日経エコロジー) (PDF 287KB)

 

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