ISO22000認証取得事例
千葉県八千代市 株式会社味泉

ISO22000認証取得事例 味泉 | ISO認証機関 ビューローベリタス 2003年 ISO9001&HACCP認証 同時取得
2006年 ISO22000認証取得

「黒子」だからこそ大事な、安全・安心への信頼性。
海外企業にも認められた取り組み姿勢。

ご協力:
湯浅 ふさ子 様 代表取締役社長
湯浅 治 様 代表取締役会長
長尾 光春 様 研究部部長
関根 史郎 様 常務取締役生産部長兼八千代工場長

・引く手あまたの時代が終わって
味泉は、業務用調味タレのメーカー。千葉県・野田に80年余り続く味噌・醤油メーカーの長子だった湯浅ふさ子社長が、昭和54年にその技術を生かして設立した。
たとえば、ファストフード店やファミリーレストランで出されるハンバーグにかかっているソース、焼き鳥のたれ、サラダのドレッシング。そうした調味料やタレを、アウトソーシングで受けて製造する。自社の名前が外に出ることはない、いわゆる「黒子」企業である。
創業時は時おりしも外食産業の黎明期から成長期にあたり、「調味料メーカーがまだそんなに無かったこともあり、引く手あまた。黙っていても業績が伸びた」(湯浅治会長)時代だった。早めのスタートを切った同社は順調に取引先を拡大し、一定の評価とポジションを確立した。
しかし後続企業が続々生まれ、次第に競争が激しくなる。また、メニューや商品のサイクルがどんどん早くなり、数ヶ月かけて開発した調味料を使った商品が1ヶ月もたずにメニューから姿を消してしまうということも珍しくなくなっている。取引価格も、ここ10年で約60%にダウンした。
さらに深刻なのは、取引先の加工食品メーカーの中国工場へのシフトだ。生産の拠点を中国に移されると、その分だけ取引きがなくなってしまう。そんな状況下で生き残っていくためにはどうすればいいか。これが、ここ10年来、湯浅社長夫妻の大きな課題となっていた。
同社には、もう一つ重点的に考えなくてはいけないテーマがあった。それは、「黒子の我が身を守る方法」である。先にも述べたが、同社は食品企業、飲食企業に調味料やタレを納めている納入業者である。何か事故が起こると「味泉がミスしたのではない」ということを証明できる根拠を求められる。しかし、いくら「こうしているから大丈夫だ」と説明しても説得力を持たない場合も、経験上は多々あった。
身の潔白を裏付けられる確実な方法を得たい。それは経営者だけでなく現場スタッフの望みでもあった。
つまり同社の維持発展のためには「差別化」と「裏づけ」が必要であり、この2つを得るために選ばれたのが、「マネジメントシステムを取り入れる」ことだったのである。

・膠着状態を破ったHACCP
マネジメントシステムの導入を決めた同社は、当初、化粧品・医薬品業界が用いるマネジメントシステムであるGMPやTQCをベースに、独自にシステム構築と運営をしようと試みた。「しかし、どうもうまく行かなかった。マネジメントシステムを活かす新工場の完成を目前にしていたのに、肝心のマネジメントシステムがうまく構築できずイライラして、弱り果てていた」(湯浅会長)という。
その状況下の1996年に入社してきたのが長尾光春氏だった。果汁飲料メーカー勤務の経験をもつ長尾氏はこの膠着状態を見て、経営陣にHACCPを使うことを提言した。そして「HACCPって、本当にそんなにいいシステムなの?」「本当にできるの?」といぶかる経営陣に対して、自らの時間と費用を使ってQMS(品質マネジメントシステム)審査員補の資格を取ったり、関連資料を提示するなどして、熱心にHACCP認証取得を説得した。
では長尾氏は、なぜそんなに熱心にHACCPを提案したのだろうか?「新工場ができることを前提として入社したので、それに何か具体的に貢献しなくてはという思いがあった。また会長の"小さくても光る企業にしたい"という入社時に聞いた言葉も心に残っていた。そこでそれを実現するためには、(食品を扱うので)やはり取引先に安心してもらえる企業になることがいちばん早道であり、安心感を与えるためには、安全性への証明があればいい。それにはHACCP認証の取得とHACCPを使った管理(第三者に指摘を受け、直すべきところは直すという取り組み)が最適だと確信していた」と長尾氏はHACCP推進の理由を語る。
こうして1998年、HACCPプロジェクトが発足した。その2年後の2000年、雪印乳業大阪工場の不祥事を皮切りに、食品業界は大荒れした。モラルハザードやグローバルスタンダードといった言葉がしきりに飛び交い、世間の食品業界への目が厳しくなった。同社にとってはまさに絶好のタイミングでHACCPへの取り組みを始めていたといえるだろう。
長尾氏をリーダーにスタートしたHACCPプロジェクトは、2003年HACCPとISO9001認証の同時取得に結びつき、さらにその3年後にISO22000認証取得へと発展した。ただし、「HACCPからISO22000へのアップグレードは、これといったストレスやハードルはなかった。HACCP認証取得を決めたときの方が、ターニングポイントに立ち、角を曲がったという印象が強い」と湯浅会長は言う。

・アメリカ企業が絶賛、取引へ
HACCPを導入した新工場ではどのような変化が起こったのだろうか。
現場を預かる関根史郎常務取締役生産部長に聞いてみた。
「大きく2つあります。一つは、従業員が自分のすべきことや主張すべきことを明確に自覚するようになり、自信をもって仕事や交渉をするようになったこと。もう一つは、業務内容を体系化して重複を避けるなどして、無駄をなくせるようになったので、仕事にスピード感が出て、ローコストオペレーション体質になりつつあることです」。
たとえば、資材部がダンボールのコストを下げる交渉をする場合、納入元にただ安くしろというのではなく、裏づけをもって「この製品を入れるならこれぐらいの厚さのもので十分なので、薄いダンボールを収めることでコストを下げたい」といった理論的な交渉ができるようになったという。
こうした理論的な交渉ができることは、企業イメージや社風を良くし、従業員の誇りとモチベーションを高める。そんな目に見えないISO効果も感じると、関根常務はいう。
では、目に見えるISO効果はあるのだろうか?
「なるべくISO22000認証取得を営業ツールにしないようにしている」(湯浅会長)そうだが、実際には、とくに新規営業のときにISO22000認証取得が有利に働いていることを感じるという。「ISO22000認証取得企業だと分かると、まず門前払いはされない」のだそうだ。
たとえば、最近の慶事はアメリカに本拠をもち今後の拡大が楽しみなサンドイッチチェーンとの取引きが始まったことだが、「それによる売上拡大もさることながら、アメリカから事前調査にやってきたインスペクターが、味泉のシステムを絶賛してくれ、そのおかげでうちが選ばれたことが本当に嬉しかった」と湯浅会長はいう。
その理由は、「うちの工場ややり方がグローバルスタンダードにかなうものだということが証明されたから」、ひいては「国際認証の必要性と威力が再認識され、自分達が決断したISO22000認証取得が正しかったことが確信できたから」だという。
現在、経営陣と従業員の共通の夢は、「味泉ブランドの商品を開発し、流通に載せること」である。言い換えると、30年間黒子に徹してきた同社と従業員が、堂々と名前を名乗って表舞台にデビューしようということである。
そこには確かに黒子時代にはなかった喜びがあるが、それと同時に未経験の困難や怖さも見えてくるに違いない。
そんなとき、スタッフのよりどころとして、また武器として、ISO22000の文書やシステムが活用されることは間違いないだろう。
またISO22000認証取得の数少ない企業の自信と誇りをもって自社ブランド製品を世に問い、結果をだしてほしいと思う。

IN SCOPE JAPAN Vol.22(2006年12月発行)より

こちらもご参照ください
株式会社味泉 八千代工場(2006.11月号 月刊食品工場長) (PDF 621KB)
株式会社味泉 会長インタビュー(2006.11月号 月刊食品工場長) (PDF 370KB)

 

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