ISO22000認証取得事例
長野県飯田市 マルマン株式会社

ISO22000認証取得事例 マルマン | ISO認証機関 ビューローベリタス1999年2月 ISO9002認証取得
2002年7月 ISO9001認証取得
2006年3月 ISO22000認証取得

全国味噌業界初、長野県食品業界初のISO22000認証取得が、
「脱価格競争」の構造改革の柱に。

ご協力:
中田 教一 様 取締役社長
林 隆仁 様 取締役・工場長
橋津 彦継 様 品質管理課長兼研究室主任

・大量廉価販売の勝負を降りる
創業120年の歴史をもつマルマンは、味噌生産に量産の道を開いた「速醸法」の発明でも知られる老舗メーカーである。
進取の気あふれる社風は現代まで伝承され、1996年に中国・内蒙古自治区ウランホト市に、有機生味噌を造る合弁工場を開設し、こちらも高い評価を得る代表商品に育てている。
このようなマルマンだが、その水面下ではある問題が顕著になり、経営に影を落としていた。その問題とは、他社との価格競争に巻き込まれ、特売の回数が増え、利益が下がり、造るほどに売るほどに台所が苦しくなるという悪循環である。
特売では、工場出価格の15%引きを要求される。それに加えて、中国が原料を買い集めはじめたことにより原料価格が上がってきた。かといってデフレ基調の状況下、簡単に値上げもできない。こうした二重、三重の逆風に見舞われ、ここ数年は、このままではとてもやっていけないと真剣に思う状態になっていたのである。
この苦境を乗り越えるために、まずやらなくてはいけなかったのは、特売をできるかぎり止めて、通常の売り場における正価での販売ができる体制にもっていくことだった。しかし、取引先に対して単に「今後うちはもう特売はしません」と申し入れても、不興を買うだけである。取引先を納得させながら、特売の回数を減らし、さらにさほど売り上げも落とさないようにもっていく。この難しいスキームをうまく実現するためには、よほどの覚悟と、廉価販売に対するすぐれた対案が必要だった。
そこで、中田社長は思い切った対案を打ち出し、ビジネススタイルの路線転換を図ることを決断した。それは「大量生産・販売を目指すのではなく、クオリティーで売るメーカーになること」であった。
もし今より品質に評価を得て、指名買いが起こるような味噌を提供できれば、特売をせずに済む。そのためには品質を上げて、マルマン味噌のブランド力を高めることだと考えたのである。つまり、「量を追わず質を追い、品質で名をはせるメーカーになる」。これが中田社長の打ち出したドラスティックな新方針だったのだ。
しかし、そうは決めたものの、それからも1〜2ヶ月は「本当にこれでいいのだろうか?」と悶々としたと、中田社長は言う。「社長就任以来30年間、大メーカーになることを目指してやってきたわけですから、それをやめて方向転換するという決断は、頭では分かっていても実際に実行に移すとなると精神的にきつかったですよ」と苦笑する。
そんな中田社長が決断した、苦渋の方向転換のよりどころとなったのが、ISO22000認証の取得であった。

・取引先のバイヤーが評価
取得を果たした2006年3月の翌月4月1日、全社員を集めた社員大会で、中田社長は「量から質への転換」を主題とした構造改革ビジョンを発表した。
その場で中田社長が出した具体的な指令は、「特売回数を半分にせよ」であった。それまでは、商談の7割が特売に関するものだっただけに、営業マンからは「そんなことで商談がうまく運ぶはずがない」「営業マンの仕事をなくす気か」とブーイングが起こったという。
しかし中田社長はひるまなかった。その理由は大きく2つ。一つは、このままの方法で営業を続ければ、そう遠くない将来、行き詰まることは自明だったから。もう一つの理由は、前月に取得できたISO22000認証が、「品質のマルマン」を打ち出すための強力な武器になるからである。
同社の取得したISO22000認証は、全国味噌業界初であり、主力取引先である大手流通業のバイヤーに「たいしたものだ」と評価されていた。つまりISO22000認証の取得が、「マルマンの主張する品質の良さは、口で言っているだけではない。認証に裏付けられた本物だ」という納得を呼んだのである。
営業マンたちは、そのことに力を得て、今までのような特売の商談を辞退しながら、その代わりに新しい営業をかけた。それは、今まで入っていた味噌の横に、もう一列マルマンの他の種類の味噌を置かせてもらうことであった。うまくいけば、売上は増大する。単価の高い商品の導入に成功すれば、倍増以上になることもある。このような戦略で、当初、特売の辞退で7%減を覚悟していた売上を、5%程度の減で食い止めることができそうであり、利益的には逆に倍増するという成果が見えてきた。
「ISO22000認証の取得を過大に利用しようとは思わなかったが、実際には会社の方向転換を成功に導いた立役者的な役割を果たしてもらった」と中田社長は言う。

・フローダイヤグラムが教えてくれたこと
一方、製造スタッフも、当初「量から質へ」の方向転換には微妙な反応を示した。この方向転換によって、製造スタッフの責任は重くなる。「質で売る」ことが、そう簡単ではないことを製造スタッフはよく分かっていたのである。
この大きな課題を乗り越えるために、製造現場を預かる林隆仁工場長がよりどころにしたのも、またISO22000だった。
工場を、新生マルマンの顔にするためには、スタッフが何らかの意識改革を起こすことが必要だ。しかし、実際には、工場での仕事はルーチンになりがちで、慣れれば慣れるほど、目をつぶっていてもできる感覚に陥りがちである。
この慣れによる無意識こそが、安全衛生および品質向上のいちばんの敵であると、林工場長は察知したのだ。
そこで、ISO22000認証取得への取り組みを活用して、フローダイヤグラムの作成を全部門の参加で行った。
各部門がそれぞれの業務内容とその業務遂行の管理システムを洗い出し、チャート化し、つなげていくフローダイヤグラムの作成は、従業員に自分の仕事内容を再認識させ、そこにある危険や問題点に気づかせその対策を検討させた。つまり「どんな仕事をなぜやっているのか」ということを明確にし、行動一つ一つに求められる手順を顕在化させたのだ。
「フローダイヤグラムを作ったことにより、誰にも明らかに手順書が見えてきました」と林工場長は言う。つまり、誰かが作って守らされている手順書ではなく、自分自身がその必要性と内容を納得して作り、実用する手順書ができあがったのである。
フローダイヤグラムにはさらにもう一つの効用があった。それは、他部署や他スタッフの業務内容や、自分の仕事との関連を理解し、スタッフが自分の仕事や部署だけでなく全体を見渡せるようになったことである。
このことにより、いっそう「なぜやるのか」「どうやればいいのか」が明確になり、それが品質の向上にかなりスピーディーに結びついていると、品質管理課長の橋津彦継さんは言う。
実際に、取り組みを始める前後から二度、同社の商品は、長野県みそ品評会でトップの最優秀賞を獲得した。
この受賞がISO22000と一体となって、「品質のマルマン」のブランディングを促進していることは言うまでもない。

・あたりまえのことをあたりまえに・・・
このように意識面でも、実効面でも、スムーズな進行が見られる同社だが、それに安住せずに、取得を経て、現在さまざまな点を見直しているという。
そのシンボルが、マニュアルの改訂だ。認証後に新しく分かったこと、不備だった点などを見直し、「本当の意味でのマルマンのマニュアル」作りが、現在進行している。
最後に、今後増えるであろうISO22000認証取得希望企業へのアドバイスを聞いてみた。
「私がいちばん勉強になったのは、3回の審査でした。審査自体が、この認証の意味を再認識させてくれて、また求められている手順を浮き彫りにしてくれました。ですから審査を怖がらずに、むしろ審査員の胸を借りるつもりで受審されたら、きっと良い知識と経験が残ります」と橋津さん。
「難しい用語に惑わされないでください。要するに、『あたりまえのことをあたりまえに、決められたことは決められた通りにやる』ということが、この認証の原点であり終点です。言葉で言ってしまえばこんな簡単なことが、なかなかできない。それを認識して、努力しながら改善し、スパイラルアップしていくことは、きっと経営資源となるはずです」と林工場長。
構造改革の成功が見えてきた今、社内は維持審査にも意欲的だ。そこにはわずか1年前、価格競争に頭を悩ませていた中小メーカーの姿は、もうない。

IN SCOPE JAPAN Vol.21(2006年8月発行)より

こちらもご参照ください
マルマン株式会社 (2006.7月号 月刊食品工場長) (PDF 1,409KB)

 

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