ISO9001認証取得事例
沖縄県宜野湾市 株式会社ラグナガーデンホテル

非製造業におけるISOの有効活用

2001年 2月 ISO9001認証取得
2003年 7月 ISO9001:2000へ移行

開業10年目に、独自のスタイルと品質を確認するためにQMS(品質マネジメントシステム)認証を取得。
国際会議の参加者もリゾート客も同時に満足できるホテルを目指す。

ご協力:
伊東 直或 様 営業部宿泊課/初代管理責任者
平良 輝光 様 営業部ショップ運営課支配人/3代責任者
新垣 一二 様 営業部宴会課/4代責任者
宮里 直樹 様 経理部経理課/5代責任者

・開業10年、ラグナスタイルの確認を
那覇市の中心地から車で約30分。宜野湾市にあるラグナガーデンホテルは、国際会議のメッカである「沖縄コンベンションセンター」に隣接し、303室の客室を有する沖縄県中部随一の大型リゾートホテルだ。
同ホテルでは、来沖するリゾート客のほかに、コンベンションセンター関係の学者や経済人なども迎え、その複雑な客層のいずれにも満足を与えることを求められる。そこで、「スタッフがよりどころにできる国際規準の運営システムがほしい」と考えた丑嶋総支配人が、開業10年目にISO9001認証取得を決断し、約1年後の2001年2月、取得を果たした。
この取得には、実は、もうひとつ背景がある。同ホテルは、1991年の開業に当たり、いくつかの全日空系列のホテルからスタッフの供出を受け、それにプロパーの社員を加えてオープンした。つまり、最初はいわゆる連合体だったわけだ。それが10年を経て、ようやく独自のカラーと運営システムをもったオリジナルな組織が確立してきた。
創業から同ホテルを牽引してきた丑嶋総支配人は、そのことを社員たちとともに確認し、今後そのオリジナル性をいっそう強化しながら、より強いホテルとして確立したいと考えた。
そして、それを実現するためには、ISO9001認証の取得を通して、蓄積された運営やサービスに対するノウハウを明文化、システム化することが最適な方法だと、判断したのだ。

・新入社員ひとりを事務局担当に登用
ところが、こうした強い意識をもった丑嶋総支配人が、取得準備の責任者に選んだのは、5カ月前に入社したばかりの伊藤直哉さん、それも彼一人だった。伊藤さんは、大学生時代にこのホテルでアルバイトをしていたのがきっかけで入社したが、大学での専攻は機械工学。ISOにもホテル業にも、まったく造詣がなかった。
「総支配人に辞令を出されたときには、『ISO、なにそれ?』という感じでした。慌てて本屋にとんでいって、『2時間でわかるISO』という本を買って必死で読みました。これは大変なことになったと、青くなりました」(伊藤さん)。
しかし、この一見無謀とも思える伊藤さんの登用は、結果的には福に転じた。というのも、ホテル運営は多種のプロフェッショナルな業務の複合体であり、それぞれの業務には独特の流儀とプロ意識がある。
ところが5カ月前に入社したばかりの伊藤さんには、まだどんな色も香りもついていない。そこで、品質マニュアルの作成のために伊藤さんが各セクションをヒアリングして回ったり、一見失礼な意見や質問を浴びせたりしても、先輩たちは一様に温かい目で見、その一生懸命さを認めて協力してくれたからだ。
もちろん、伊藤さんの熱意とものおじしない性格も幸いした。「担当者がほかに誰もいなかったので、全部自分でやるなんてとうてい無理だと思いました。それで、最初に皆さんを集めてQMSの考え方を説明し、『後はそれぞれの現場でやってください。よろしくお願いします!』とお任せする方式でいくことにしました」という。
このときに、伊藤さんが、皆に最も力説したのは、「すでに皆さんの職場では、すばらしいシステムが確立されているはずです。それをそのまま、整理して書き出してください。それがいちばん役立ち、効果の上がるマニュアルになります。無理にこうあるべき、こうしたいといった目標を表明する必要はありません」ということだった。これは、取得を決めた直後に訪問させてもらった、ISO9001認証取得の先輩であるホテルオークラの担当者から教えられたポイントで、伊藤さん自身がもっともピンときたアドバイスだった。
伊藤さんと同様に、このひと言にピンときた担当者は多かったらしく、以後、多少の温度差はあるものの、楽しんで積極的にマニュアルづくりに取り組んでくれる人が増えたという。
また、伊藤さんが注力したもうひとつのポイントはスケジュール管理だった。どのセクションがどの項目まで作成したかがひと目でわかる進行表を作り、遅れ気味のセクションには注意をして、足並みを揃える工夫をしたのである。
興味深いのは、「何も知らない自分ひとりでは、全部はできない。各現場にやってもらう」という伊藤さんのいわば苦し紛れの作戦が、結果的には、ISO9001認証取得活動に現場を参加させることにつながり、リアリティーあるマニュアルが作れたことである。
普段は強面(こわおもて)で通っている料理長が、パソコンを駆使して「これでどうだ!」といわんばかりのマニュアルを作ってきたというエピソードも残った。

・2年任期で管理責任者を回り持つ
こうして、文字通り一歩一歩試行錯誤しながら取得への道のりを歩んだ同ホテルでは、99年9月に伊藤さんが単独で準備を始めてから、2000年1月の全社取り組み(キックオフ)を経て、2001年2月の取得まで、約1年半の歳月がかかっている。「しかし、このゆっくりとしたペースが、QMSに対する意識を高め、皆で一丸となって取得したという実感を与えてくれました。取得そのものもさることながら、このプロセスが力となったと思います」と、三代目の管理責任者を務めた平良輝光ショップ運営課支配人は言う。
ちなみに、同ホテルでは、管理責任者の任期2年で、(1年は新任担当者として、翌1年は新任者をサポートする立場で。いずれの年も、従来の業務との兼任となる)、なるべくさまざまなセクションの人を就任させることにしている。これは四代目の管理責任者を務めた新垣一二宴会課長のアイデアで、この方式もQMSに対する意識の普遍化に役立っている。

・レベルアップで、99室を増築
現在、同ホテルが、顧客満足度アップのためのツールとして特に重視しているのが、宿泊客に書いてもらう客室アンケートだ。
このアンケートは、総支配人が封を切り、是正が必要と思われる箇所にチェックを入れて、企画部に回す。企画部は該当セクションに是正を指示し、同時に是正要求内容を全セクションに回覧する。
ISO9001認証取得後、この是正報告書をフォーム化したのだが、この効果が高かった。つまり新しい報告書は、「次からは気をつけます」「そういうことがないように頑張ります」という精神論では片付けられないように考えられたうえでフォーム化されたのだ。たとえば、「教育が行き届いていませんでしたから、再教育します」という是正報告は許されず、「過去の教育の何が問題で、どのように是正したプログラムで再教育するのか」ということまで突っ込んだ是正報告を求めるフォームになっているのである。
またアンケート以外のお客さまの声は「コンプレイン報告書」であげられるが、ISO9001認証取得後、このフォームも客室アンケートのフォームと統一され、同じレベルと内容での是正報告が行われるようになっている。
一方レストラン課では、社員からアルバイトまでが、その日にあったこと、感じたことを自由に書いて提出する「おもてなしカード」を、独自に作っている。こちらは総支配人にまでは行かず、レストラン課のマネジャーが見て、判断や評価を行っている。
これは、報告しやすい、意見を言いやすいムードや人間関係を作るうえで有効なのはもちろん、気軽に寄せられる意見や報告に、その実大事なことが隠れていることも多くあり、予想外に有効だ。
こうした取り組みを重ねてきた結果、同ホテルの評価は確実に上がっている。クレーム数、全国の全日空系のホテルのランクづけ、旅行代理店がお客さまに取ったアンケート結果。こうした指標が、いずれも同ホテルがレベルアップしていることを示すようになってきたのだ。その結果、宿泊客数も順調な伸びを見せ、昨年には99室を増築した。
今後のテーマについて聞くと、大きく2つあるという。ひとつは、「社員にもっとQMSの考え方を浸透させ、日常業務への落とし込みを確実にすること」。そしてもうひとつは、「タクシー、客室清掃、クリーニングなどの業者にもQMSの考え方を取り入れてもらい、あらゆる面でクオリティーアップを図り、さらに顧客満足度をあげること」。
年間500万人強の来訪者を迎えながらも、単価ダウンのせいで決して楽ではない沖縄のホテル業界。その状況下で、QMSがどのように経営貢献するか。周辺にも注目される取得ケースである。

IN SCOPE JAPAN Vol.16(2004年12月発行)より

 

お問い合わせフォーム

 

お見積り依頼はこちらから

 

認証機関の変更をご検討ですか

 

フライヤー・パンフレットをダウンロード

 

開催予定一覧はこちら

 

関連ニュース

 

関連サービス