OHSAS18001認証取得事例
北海道苫小牧市 苫東石油備蓄株式会社 苫小牧事業所

2004年12月 OHSAS18001認証取得

取得の経過を細かく記録し、その後の運用に活用。
個人別危険管理も導入し、効果の徹底を図る。

ご協力:
篠原 一夫 様 総務課
倉橋 秀憲 様 業務課
吉松 哲夫 様 防災環境室

・個人単位に踏み込んだ危険源管理
苫東石油備蓄株式会社は、政府の保有する備蓄用石油の管理を任される操業サービス会社である。その苫小牧事業所は、苫小牧東部工業地域に274ヘクタールの敷地をもち、中には57基のタンクを備える。6種類、541万キロリットルの油を保有し、これは国内需要の約10日分に当たる。
同社の前身は、石油公団と出光興産、他の共同出資により昭和56年に設立された苫小牧東部石油備蓄株式会社である。それが平成13年12月、行政改革の一環として、敷地や設備を政府に移管することが閣議決定した。
その結果、平成15年10月に苫東石油備蓄株式会社が設立され、平成16年2月その管理を請け負う管理会社へと変身したのである。
こうした経緯も踏まえて、同社では「TOSMAP21」と称する経営計画を策定し、中期重点課題を打ち出している。それは、「安全環境」「設備保全」「効率経営」「人材育成」「自然・地域共生」の5本柱から成り立っており、その中の一つである「安全環境」の遂行のためにも、平成15年12月に認証取得したOHSAS(労働安全衛生マネジメントシステム)による活動を主要な項目としたのである。
現場における具体的安全活動は、2種類の活動からスタートした。まず一つめは気がかり箇所や行為の発掘活動である。これは93項目にわたって行われた。
もう一つは、ヒヤリハットの洗い出しを柱にした、個人サイズの取り組みである。これはまず潜在型ヒヤリハットと顕在型ヒヤリハットに分けて洗い出しが行われた。実はこれが「事故」や「危険」の根源になっていることは多いからだ。
たとえば、ある特定の人に、時間や場所や作業の別を問わずヒヤリハットが多いということは、実際にはどの現場でもよくあることだ。しかし、それは個人攻撃にもなりかねないので、敢えて指摘したりテーマにしたりすることは、なかなか難しい。「原因はそこなのだが、メスは入れにくい」というタイプの危険源である。
ところが同社ではあえてそこにメスを入れて、個人別危機管理を行った。従業員は、適性テストに似たアンケートを使いながら自己分析を行い、自分の「行動特性」を洗い出し、さらに問題点を改善するための「行動目標」を明らかにする。そしてその一連を、「個人別行動特性カード」に記し、それを常に表示するのである。
たとえば、「私はよく忘れ物をする」→行動目標「必要物の一覧表を作り、作業に取り掛かる前に必ずそれをチェックし、忘れ物がないかを確認する」といったことを記したカードを作り、持ち歩いているのである。
「行動特性の分析はあくまで自己分析であり、上司や管理側からの指摘や評価ではないところが、このやり方をスムーズにするポイント」(総務課 篠原一夫氏)だという。

・分からないことをそのままにしない
もう一つ、同社におけるOHSAS構築の一つの特徴は「分からないことをそのままにしない」という姿勢だ。
たとえば、当初「具体的にどこからどう手をつけて組み立てると、効率的で効果的な構築ができるのか?」という疑問があった。すると早速、毎月1回、外部講師を呼んで講義を受けられるようにした。 また各課から危険源を洗い出してもらったら1450件の危険源が抽出された。ところが事務局側には、現場の危険源の様子や内容について不明点が多い。そこで、その危険源を抽出した課の代表者を呼んで、詳細が掴めない危険源1点1点について内容確認を行った。「この作業に丸々1週間かかりました。しかしこれをやったおかげで、本当は分からないのに分かったつもりで評価するというごまかしがなくなり、事務局が自信をもって改善案づくりに取り組むことができました」と業務課の倉橋秀憲さんは言う。
さらに同社では、これら一連の活動や作業の様子を丁寧に記録し、コンピュータで資料化している。いわばOHSAS18001認証取得のトレーサビリティーである。この資料は、社内外に対する報告やプレゼンテーションに使われるだけでなく、同社のOHSAS運用の現況を、取得の原点に照らし合わせて検証し、今後の方向性を示唆してくれるテキストでもある。
こうした取り組みや工夫の結果、今同社では、「予測できる危険源の拡大や深化にどう取り組むか」や「見えていない危険源をどう見るか」といった新たなテーマが浮上している。そしてその方法論の一つとして、「異業種の洗い出した危険源の事例をもっと見たい」という要望が出てきている。
たとえば、総務課で洗い出されるべき危険源を、あるホテルが抽出した危険源の中に発見したりすることがあるからだ。「この方法は効果的。他業種間で情報交換を行えば、お互いに必ず役に立つでしょう」と防災環境室の吉松哲夫氏は言う。
広い雪原の只中で国の資源を保全する人たちの、熱心な取り組みが心に残った。

IN SCOPE JAPAN Vol.17(2005年6月発行)より

 

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