審査員コラム
「『リスク』について考える ISO9001改訂(2015年版)に関する考察」連載第2回(最終回)

ISO9001/ISO14001 主任審査員 広瀬 春樹

2014/10/17up

2014年5月に発行されたISO/DIS9001:2014に頻出する「リスク」をキーワードに、
ISO9001の2015年版の意図に関する考察を深めます。(全2回)

お断り
2014年5月に発行されたISO/DIS9001:2014に基づくコラムであり、
今後の規格改訂の内容によっては解釈なども変更される可能性があります。


本連載の第1回で、ISO9001改訂(2015年版)の国際規格原案(DIS:Draft International Standard)で頻出する言葉として「リスク」を取り上げましたが、そもそも「リスク」とはいったい何でしょうか。英和辞書では「危険」、英英辞書ですと”the possibility of something bad happening at sometime in the future (将来起こり得る悪いことの可能性)”と示されています。従って、危険には「今そこにある危険」と「将来起こりえる危険」の2種類あると言えます。”at sometime in the future”がミソの様で、「リスク」は、将来起こりえる危険であることが辞書から読み取れます。

ISO9001のDISにおける定義はこれよりも少々複雑です。「用語及び定義3.09リスク」では、「不確かさの影響」とあり、その注記には「不確かさには好ましい方向、好ましくない方向の両方がある(注記1)」に加え、「好ましくない方向だけに使われることがある(注記5)」との記述があります。どちらに考えて良いか判断に迷う表現です。そのため、リスクは好ましくないと考えれば良いと単純に説明する向きも多々あるようです。

さらに、「リスク及び機会 (risks and opportunities)」と対の用語で示されている箇所があります(4.4、5.1.2、6.1、9.3)。これらの点から「リスク」と「機会」を対比させ、前者が好ましくない方向、後者が好ましい方向と見る考え方があるようです。

しかしながら、「リスク」は、将来のある程度の期間での危険を想定するものであり、「機会 (opportunity)」は、「特定の時」と解釈することができると考えます。英英辞書では、”a time when a particular situation makes it possible to do or achieve something (それをすることのできる特定の状況の時)”と説明されています。

つまり、「リスクはチャンスだ」、「リスクをとる」という言葉があるように、勇気を持って「リスク」をとることは、予想される危険を踏まえて行動し、チャンスに変えることであると言えます。事業を展開し、新しいことにチャレンジし、変革を推進することは、どのような組織にとっても必要なことでしょう。それらによって事業の継続性を維持することが可能になり、継続することによって、その組織ならではの社会的責任の遂行へとつながっていきます。ISO9001の2015年版はまだ開発途上ですが、大きな狙いとして、組織の事業環境を把握し、その将来的に起こりうる危険を把握し、それに対処すべき時、変革を起こすべき時を見極めて実行していくことを求めており、そのための仕組みを組織の中に持ち続けることを求めていると言えるでしょう。

 

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