審査員コラム
「内部監査の有効活用〜監査員育成を通じたマネジメントシステムの有効性改善」

ISO9001/ISO14001 主任審査員 市川 洲夫

2015/5/22up

マネジメントシステムの向上」、「人財育成の機会としての内部監査の有効活用」
という両者の実現に向けた見解を、筆者の審査経験をベースにお伝えします。


最初に自己紹介をしたいと思います。
精密機械製造会社で42年間勤務した後、「品質」および「環境」のマネジメントシステム(以下MS)の審査員になり、今年で12年が経ちました。前職では生産管理分野を主に業務改善を含めたシステムの構築、そしてコンピュータシステムの運営管理を担当し、退職前の数年間は関連会社を含めた「環境MS」の構築を行いました。一方、プライベートでは20代より趣味であるモータースポーツ競技に出場。競技役員を経て、現在は競技会の審査委員として活動しています。

さて、本題に入ります。
審査員として組織を訪問する際、「品質、および環境MSのさらなる向上に少しでも貢献できれば」との思いで毎度審査に臨んでいます。そして、「内部監査をさらに有効活用し、人財育成の機会の場として頂きたい」と願っています。

内部監査の規格要求事項は、「当該規格の要求事項に適合しているか」、および「MSが効果的に実施・維持されているか」の2項目ですが、多くの組織では「適合性」に重きが置かれ、「MSの効果的な実施・維持」の面において果たして十分なのかと疑問に感じることがあります。

過去に訪問した組織を振り返ると、一部では、「改善・提案事象を積極的に多く抽出し、有効に機能している」と経営者が話し、各部署で改善に向けて活動していることが確認できました。しかしながら、他の大多数の組織では、不適合以外の事象を含めて抽出が無いことに安堵しているようで、仕組みの継続的向上を含めた改善機会として内部監査が活用されていません。

内部監査員は、認証機関の審査員が行ってはならない「改善」および「提案」などに、もっと積極的に取り組むべきだと思います。実害が未だ無い時点での予防的対処ですから、部門から嫌がられることは無いと思います。対応コストなどの問題があれば、知恵を発揮し、例えば「目標として設定する」などの取り組みも可能ではないでしょうか。

管理責任者は今一度、内部監査の規格要求の趣旨を確認して頂き、不適合抽出が目的ととらえず、「経営者から与えられた改善の機会であり教育の一環」だと認識すれば、「MSの効果的な実施・改善」に近づくでしょう。そのために「改善」および「提案」を抽出するには、内部監査員の教育・訓練が重要ですので、「内部監査は将来の人財育成の効果的な機会である」との認識をベースに、OJTと位置づけた内部監査を重ねて頂きたいと思います。

内部監査員は、日頃よりマニュアルなどの文書類を使用していますので、「適合性」に関する理解、監査対象部門の業務内容の状況把握といった点で、下地は十分です。さらに幾つかの個人的な資質の向上(後述)を図ることで、組織が今後必要とする人財の育成および確保が可能となります。監査範囲を限定、あるいは臨時として実施回数を増やすことで、時間的負荷を増すことなく、教育実践の機会を増やす方法も一案です。それは、QMSでの規格要求の「プロセス及び領域の状態及び重要性、並びにこれまでの監査結果」の裏付けにもなります。

私が審査員教育の際に教わった個人的な資質の例は、倫理観、寛容さ、外交性、観察力、感知力、適応性、粘り強さ、論理的考察、分析能力、判断力そして自信でした。これらは、マネジメントにおいても求められるスキルであると思います。

「時間的な余裕が無い」という印象を持たれるかもしれませんが、「マネジメントシステムの向上」、「人財育成の機会としての内部監査の有効活用」という両者の実現に向けて取り組み、成果を挙げられることを切に願っています。

 

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