審査員コラム
「馬の背中からマネジメントシステムを見る!」

ISO9001/ISO14001 主任審査員 三宅 順一

2016/6/23up

馬の背中から見渡せる景色を楽しむ中で、マネジメントシステム審査における
「全体俯瞰」の重要性に対する認識を新たにしました。
「組織にとっての全体最適」を追求する視点をベースに、マネジメントシステムの
重要要素である「目標管理」と「内部監査」のポイントをお伝えします。

お断り: 本コラムの内容は一般的な見解を述べたものであり、
個別の審査において一律に適用されることを保証するものではありません。


馬の背中からマネジメントシステムを見る! | ISO認証機関 ビューローベリタス
趣味は乗馬です。小さい頃、テレビで西部劇を見て、馬上のカウボーイ姿にあこがれました。いつか、「馬に乗ってみたい」というその時の気持ちが、今日の乗馬に繋がっています。上から目線という訳ではないのですが、高い位置から眺めると、遠くまで見渡すことができ、地上では見えなかった家の向こうの麦畑が見えたり、垣根の向こうの川が見えたりします。
全体を俯瞰するという意味において、審査にも通ずるものがあると思っています。審査では、細かい部分を見つつ、全体としてどのようになっているか、組織にとって何が一番良いか、組織にとっての全体最適の視点で、マネジメントシステムを捉えるようにしています。


1.思い出されること
ISO(アイエスオー)と聞くとISOネジ(イソネジ)を思い出す人も多いと思います。
ISOはInternational Organization for Standardizationの略で国際標準化機構と訳され、本部(1947年設立)をスイスのジュネーブにおいています。このISOが呼び径、ピッチなどについて規格を定め、その規格に従って造られたネジがISOネジです。
「日本で造られたボルトを地球の反対側のブラジルに持っていき、現地で調達したナットとぴったりと合わせることができる」。これが国際共通規格の威力であり、ISOという用語を身近に感じ始めたときでした。

時は経ち、ISOは飛躍的な進化を遂げます。ネジのような物(製品)に対してではなく、マネジメントシステムという仕組みを対象とした規格の誕生です。
ISO9001は、1987年に初版が制定、1994年改定、2000年改定、2008年追補改定、そして、昨年2015年版が発行されました。認証取得する組織の規模は大企業から中小企業へと裾野が広がり、業種も製造業のみならず、食品、運送、ホテル、医療など、あらゆる組織が品質マネジメントシステムを適用する時代に突入し、現在に至っています。


2.組織に役立つ審査
2-1.目標管理について

組織は、目標と目標値(達成基準)を決め、施策とマイルストーンを設定します。この計画にしたがって、進捗管理が行われます。ここで大切なのは、計画通り進まないときの対応です。目標未達となったとき、あるいは未達が予想されたとき、その要因を探り、適切な分析を行い、今後の方向付けができるかどうかです。P(計画)D(実行)C(評価)A(改善)のCAがうまく廻せるかどうかです。

人間は、年齢を重ねることによってカルシウムが不足してきます。正確には、年齢を重ねることによって、カルシウムの吸収率が低くなり、より沢山の量のカルシウムを摂取する必要がでてくるということです。そうしないと骨がもろくなってしまいます。カルシウムはCA(元素記号ではCa)です。

人間は年を重ねるとCAが不足し、マネジメントシテムも形骸化してくるとPDCAのCAが弱くなります。良い目標を立て、適切な目標値を決めて実行を開始しても、肝心のCAができていないと、次の期、またPDで始まりますが、やはりCAが廻らないと、いつまで経っても目標の達成はないという負のスパイラルに突入してしまいます。

そこで、未達の場合、あるいは未達が想定された場合、未達の要因分析と今後の方向付けが必要になってきます。まず、目標値にどうして届かなかったのか、要因を探ることが大切です。
二つのケースが考えられます。もともと、その目標値を掲げたとき、手段として設定した施策は実行されたかです。もし実行されていなければ、目標未達は当然の結果です。どうして施策が実行できなかったかを探り、挽回策などの善後策が必要です。
もう一つのケースは、施策は、マイルストーン通り実行したが、結果として未達となった場合です。この場合、当初考えなかった別の要因が存在することになります。その要因を分析し、その結果を踏まえて、目標達成に向けてどうするか方向付けをすることです。それを、次期の施策により具体化して展開させることです。このCAがしっかり廻っているかを見ることが重要です。


2-2.内部監査について
内部監査が効果的に実施され、パフォーマンス改善(品質改善)に繋がり、経営に寄与しているかを具体的に整理すると以下です。
(1) 品質が良くなっている。後戻りが少ない。(歩留り、不良率、直行率、クレーム件数)
(2) 顧客満足度が向上している。(顧客アンケートにより、具体的にCS度の向上がうかがえる。)
(3) コストが下がっている。(仕損費、クレーム処理費、調達先監査費など)
(4) 売上が増えている。顧客から感謝されている。(感謝状、アンケート結果など)

これを踏まえて、実態はどのようになっているか以下の視点で見る必要があります。
適合性での視点とともに、有効性での視点が大事です。
(1) 内部監査での指摘事項(不適合、観察事項)が少なくないか。少ないと活性化されない。
(2) クレームについての分析、再発防止についての監査が行われ、適切な指摘がだされているか。
(3) 経営者の指示事項(マネジメントレビューのアウトプットなど)の実施状況について、監査が実施されているか。
(4) 工程内の不適合(後戻り、歩留り、直行率)について、統計的手法で分析され、改善策が実行されているか。
(5) 品質目標の進捗に言及した監査が実施されているか。
(6) 品質目標のパフォーマンス(歩留り、直行率、不良率)に言及した監査が行われているか。


3.まとめ
「目標管理」も「内部監査」もマネジメントシステムの重要な個々の部分です。個々の部分をしっかり見つつ、経営とのつながりにも注目が必要です。目標設定においては、経営方針、品質方針と整合しているか、内部監査においては、経営者の意図が組み込まれているか、経営者は内部監査を通して何を変えようとしているか、それぞれの部分を見つつ、全体を俯瞰していくことが重要であると思っています。
折りしも2015年版が発行されました。新たな規格要求として追加された、組織の理解、内部・外部の課題、リスクと機会などを考慮して、マネジメントシステムに取り組むことが求められています。経営との一体感がより鮮明になったと言えます。一審査員として、これまで以上に組織経営のお役に立つ審査を心がけていきたいと考えています。

 

お問い合わせフォーム

 

お見積り依頼はこちらから

 

認証機関の変更をご検討ですか

 

フライヤー・パンフレットをダウンロード

 

開催予定一覧はこちら

 

関連ニュース

 

関連サービス