審査員コラム
ISO9001/ISO14001の2015年版を囃(はや)す

ISO9001/ISO14001/OHSAS18001 主任審査員 木戸 信嘉

2016/9/15up

ISO9001/ISO14001の2015年版を囃す | ISO認証機関 ビューローベリタス
いま、このコラムをお読みになる皆さんに共通する関心事は、ISO9001/ISO14001の2015年改定版ではないかと考えています。皆さんは、この新しい規格を、どのようにご覧になっているでしょうか。

新しいものには期待が寄せられます。それは、物(ハード)だけでなく、ソフトとハードが一体となり機能するもの、例えば社会システムなどにも言えることでしょう。私は、新しいものが何であれ、わくわくする期待感を抱かずにいられません。同僚の審査員の中にも、新しい物好きは結構います。最近ですと、スマホやタブレットなどの電子デバイスがもつ、これまでに無かった新機能の恩恵に預かり、業務の生産性が大きく高まりました。

2011年に、国内におけるテレビの地上デジタル放送化が実現しました。社会システムとも言えるので簡単に戻せませんが、その美しさ・便利さを享受したためなのか、アナログ放送へ戻そうという声はあまり聞かれません。「地デジ前」と比較すると圧倒的な情報が得やすくなり、エンタテイメントの楽しみが倍増した、と受け止めています。

現在、建物の窓枠には一般的にアルミサッシが使用されますが、以前は木製やスチールサッシしかありませんでした。アルミサッシの軽さは劇的でしたが、当初はアルミの色合いが建物に合わないとか、経年変化でアルミ地肌が荒れるなどの否定的な声も聞かれました。しかし、技術開発が進む中で生まれたブロンズ色などの高級感あふれる製品は、住む人だけでなく建物を見る人々を含め、その生活空間を豊かにしています。

私がマネジメントシステム認証に関わり始めた頃に主流だったISO9001:1994を改めて見てみると、この規格の内容に四苦八苦していたのかと苦笑してしまいます。次なるISO9001:2000とISO14001:2004の登場にはかなりのインパクトがありました。「新しいものへの期待」そのものだったことを、今でもよく覚えています。

ところが、審査を実施していく中で、これらの規格を採用した組織において、効果的にマネジメントシステムの運用が行われているケースが、決して多くはないことがわかってきました。最も残念だったのは、品質及び環境マネジメントシステムの、ビジネスマネジメントシステム(組織全体のマネジメントシステム)への関わりが弱いことでした。組織の業務活動とは別にISO規格に基づくマネジメントシステムが運営されている、という実態を目にすることがありました。

ISO9001/ISO14001の2015年版を囃す | ISO認証機関 ビューローベリタス
組織には創業の哲学があり、長年にわたり受け継がれてきた経営理念があります。それらを維持しつつ、ISOの要求事項に適合するようにマネジメントシステムを変えるのですから、相当の検討が必要になると思われますが、十分に資源投入されていないケースもありました。また、規格旧版にも方針、マネジメントレビューなどの要求事項はありましたが、経営層にはしっかり届いていないように見受けられることもありました。一方、経営者から見ると、中長期的な視点と広い視野という点では、これまでの規格は不十分な要素があり、独自に持つマネジメントシステムが最適に近いものとなっていたのかもしれません。

ISO9001/ISO14001の2015年版には規格構造を含め多くの変更点がありますが、特に注視されるのはトップマネジメントへの要求事項です。ISO関連セミナーに長年の関わりを持つある講師が、2015年版について「よくぞここまで書いてくれた」と絶賛していました。

2015年版への対応について、苦労されている方もいれば、軽くクリアできると考えている方もいらっしゃるでしょう。どちらも正しいと思います。組織にはそれぞれ特徴がありマネジメントシステムも同じではありません。文書類に関する要求がより柔軟になったため、組織では、それぞれのプロセスをどうするか、中身を考えることに注力できます。ぜひ、独自に持たれているマネジメントシステムに、トップマネジメントへの要求事項をうまく組み入れて頂きたいと思います。

今後の審査において、2015年版に対応した有効性の高い運用事例にたくさん出会えることを期待しています。そして、この2015年版が十分使いこなされたころに、さらに新しい規格が生まれ、またわくわくできる機会が巡ってくることを楽しみにしています。

お断り: 本コラムの内容は一般的見解や個人的所感を述べたものであり、
個別の審査において一律に適用されることを保証するものではありません。
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