審査員座談会「ISO9001・ISO14001 認証範囲と適用範囲」

その1〜認証範囲と適用範囲/組織の単位と物理的境界

2017/10/27up

日時:2017年6月26日(火) 15:00〜
出席者:審査員A(進行役)、審査員B、審査員C、審査員D

※本文中の用語について、下記のように表記します。
ISO14001(環境マネジメントシステム)=EMS
ISO9001(品質マネジメントシステム)=QMS

EMSの「認証範囲と適用範囲」について


審査員A:
2015年版で、QMS及びEMSの箇条4.3で適用範囲の決定とありますが、この「適用範囲」と認証書に記載されている「認証範囲」のギャップが問題になる場合があります。これについては審査員の間でもよく議論になりますよね。規格では「適用範囲(Scope)」なのですが、その読み手が、組織である場合と第三者認証を行う審査機関の場合で差が出ていると思われます。
審査員B:
適用範囲(組織が規格を適用している「範囲」)と認証範囲(審査機関が審査、認証をする「範囲」)は必ずしもイコールではない、という話はずっとしていましたね。特にEMSでは「適用範囲」を文書化して、利害関係者が入手可能でなければいけないと書いてあるから、実態に合ったものでなければいけない。
審査員A:
ISO14001 organizationとsosietyとの関わり

(図1)

組織の活動がどれだけ(適用範囲に)入るのか、地理的にどこまで入るのか、組織図の中の人のどこまでが入るのか、ということですね。そうすると、「認証書が適用範囲の文書化したものである」と組織に言われたときに、適用範囲と認証範囲がイコールなのか確認して、もしそうでなければ“適用範囲の文書化”が必要だ、という話はしたほうがいいでしょうね。組織の担当者がこの区別が付いてない場合もあるから。
(図1)組織のEMSの中で@だけがCertified(認証を受けている)。この組織(Organization)としては当然この外のSocietyとのやり取りがあって、社会的責任があるわけだから、当然、適用範囲と認証範囲のギャップはないに等しい方がいいんだけど。
審査員B:

そうすると、ある大企業を例に挙げると、実は50サイトのうち審査対象範囲は40サイトで、あとの10サイトは小さいサイトで対象外だけど、全部同じシステムを運用している。適用範囲ということであれば、認証書に記載された認証範囲の他にプラス10サイト入れたものを利害関係者が入手可能な文書として用意しとかなきゃいけないよ、ということですね。でも、こんな議論は前提がおかしくないですか?なぜなら、認証書をもって組織の適用範囲の文書化とするのは、組織にその文書化をする機能がないということですよね。つまり、認証書は認証機関が発行するものであり、認証を受ける組織の環境マネジメントシステムのプロセスのアウトプットではないので、組織がその規格要求事項を満足しているとは言いがたいでしょうね。

審査員A:
そうでした。
審査員C:
認証範囲とは別に適用範囲としての文書を整えなくてはいけないんだ。であれば、最初の段階できちんと考えて、それを審査時に言わなきゃいけない。両方区別して書いてあると、世の中の人は正しく理解できますね。
審査員A:
実務上、マニュアルがあるはずだから、組織としてEMSをどう運用するかを宣言している文書があるんでしょうけど、おそらくそれは認証範囲を想定して書いている。
マネジメントシステムと言う以上は認証を受けるかどうかは関係ないんですけどね。こういうマニュアルに相当するようなものが必要なんです。
審査員C:
その中に適用範囲はここだって明記してあればいい。
審査員A:
そう。だから、その言葉の整理をしてあげたらいいんです。このマネジメントシステムは、認証範囲ではなくて、これだけの範囲全部に適用するというのをちゃんと宣言してねという話を審査員側からしないと。
審査員C:
さっきの例で言うと、50サイトのうち40サイトはビューローベリタスで取得していて、あと10サイトは適用範囲であるが認証範囲には入っていない、ということになる。だから、「我々○○グループは…」と書いていたら、その10サイトも責任をもってマネジメントシステムを運用しているんですよって言えるようにしておいてくださいね、審査の範囲(認証範囲)には含まれませんが、という話をしないとだめだね。

EMSの適用範囲に関する「組織の単位、機能及び物理的境界」について


審査員B:
ISO14001 認証範囲

(図2)

図2のような排水処理施設がある1サイトで認証を取ろうという例です。@だけでEMSを取るのは駄目、というのが最初の話なんですよね。作業員が外部委託であったり、子会社になったりしているからといって、Aは認証範囲に入れてないというのは駄目ですよ、ということなんです。これがEMSがQMSとちょっと違うところ。だから、こういう非常に環境負荷が大きいところを除く(「チェリーピッキング」、「リスク飛ばし」)のは関係上まずいので、それは駄目ですというのが大原則。
審査員A:
この場合は直感的にも駄目だと思う。だけど、組織単位として分けて考えても駄目なの?
審査員B:
基本的にEMSは組織というよりはサイトで考えるので、全体はこうだけどここを除外して簡単な括りで認証を取るのも駄目です、という概念にはなる。
審査員A:
駄目だと思いますけど、組織が別であればどうなんだろう。
審査員B:
「場所」が基本です。但し、組織の業務の指揮命令系統及び、EMSとしての指揮命令系統がある場合もあるので、考慮が必要でしょうね。
審査員A:
QMSだと適用範囲=顧客に負う責任範囲、と理解しやすいんだけど、EMSでは原則場所で決まるものなのでしょうね。空気と土、音、水などが要素としてあるから。
審査員D:
たとえば会社として昔は1つの会社だったのに、事業分割、譲渡されて別会社になってしまったようなところですか。一方がEMSを取得していて、もう一方が別のEMSを取得していれば、片方にしか排水がなくてもう一方が委託しているような場合でも、排水の部分は業務委託というような扱いでいいよという話なので、場所としては、カバーされている。
審査員A:
このケースでは、2つのサイトの境界線はどうやって決めたらいいの。
審査員B:
基本は、いわゆる郵便住所の敷地単位です。でも、大きなプラントなどでは、住所がいっぱいあるので難しいんですよ。
審査員C:
境界を越えてアウトソース先の管理まで持っていかなくてはいけない例も出てくるだろうから、おそらく零細な供給者(アウトソース先)に対して発注をかけるようなケースについても審査しなきゃいけないだろうな。
審査員A:
廃棄だけ委託しているようなケースで、アウトソースの相手が極めて零細企業だった場合に、アウトソース先の管理がどこまでできるのか難しいところだと思いますが…
審査員C:
それは状況をちゃんと見ないと分からないけど、EMSの場合はそういうケースが出る可能性があるよね。
審査員A:
箇条4.3の1行目にある、「適用範囲の境界及び適用可能性」の決定内容が妥当だと判断する根拠についてはどうでしょう。
審査員B:
基本は、やっぱりその工場のフェンスがある敷地の中がまず第一で。
審査員A:
分かりやすい話ですよね。
審査員C:
敷地内の一部を貸している場合は?この場合、相手方の活動を全部こちらの責任として見るわけではない。ということは、同じサイトの中で別の会社がある場合や委託している場合と一緒なんだよな。だから両方書かなくてはいけない。
審査員A
大家さんとしては、こういう縛りが出てくることはあまり意識しないかもしれない。
審査員C:
だから土地の一部を貸している場合は、全部適用範囲に入れるわけではないんだよな。
審査員B:
インターフェースのところは見ないといけないでしょう。お互いに干渉し、排水施設も向こうにあるか、そうでなければ線は引いてもいいのではないかな。
審査員C:
今それはどういう解釈してるんだっけ。
審査員D:
間接管理にせよ、EMSに位置づけて管理するということだろうね、それが請負契約の場合もあれば、子会社などで敷地内に連絡会を設けて活動している場合もある。
審査員C:
それはそれで間接管理の妥当性を確認して、認証を受ける組織の活動の適合性と有効性を判断するという立て付けだと思える。
審査員B:
QMSは認証を受ける組織の責任範囲の関係上、外部は認証の範囲には入らず、その管理が審査を受ける。EMSでは、同じ敷地にあれば入れないと駄目でしょ。組織のために。つまり、その敷地単位での順守義務や環境パフォーマンス管理がある場合に、別法人での管理が確実に行われていることが審査されるということです。最低限、間接管理は含めるけど、この仕分けはいろいろな場合があるので一言では言えない。
審査員A:
バウンダリーの話をすると、図2では、ある敷地を仕切っているブロックがあって、この中で@だけ認証しているときにAを外すということは、基本的にしません、できませんというところです。ただ、Aが別のEMSを持っている場合は外してもいいでしょう。
この考え方を広げると、例えば道路が敷地の四方を囲んでいれば、この道路は市が責任を持っているわけだね。道路でない場合もそれはそれでオーナーがいるので、そこにはこちらの権限が及ばないはず。少なくともこの敷地単位で見ると、ここで統一的に管理するとしたら、隣地については必ず何らかの管理を受けているだろうから、環境に関する責任はない、としてよい前提なんでしょうね。




 

お問い合わせフォーム

 

お見積り依頼はこちらから

 

認証機関の変更をご検討ですか

 

フライヤー・パンフレットをダウンロード

 

開催予定一覧はこちら

 

関連ニュース

 

関連サービス