審査員座談会「ISO9001・ISO14001 認証範囲と適用範囲」

その3〜QMSの適用範囲について

2017/11/9up

日時:2017年6月26日(火) 15:00〜
出席者:審査員A(進行役)、審査員B、審査員C、審査員D

※本文中の用語について、下記のように表記します。
ISO14001(環境マネジメントシステム)=EMS
ISO9001(品質マネジメントシステム)=QMS

QMSの適用範囲について


審査員A:
それでは次にQMSの適用範囲の話に移りたいと思います。
QMSは、簡単に言うと@組織が顧客に提供するプロダクト(製品)、サービスに対する責任範囲をカバーするという話で、よく聞かれるのがAプロダクトを限定できるか、限定していいか、Bプロセス、例えばそのデザイン、セールスを限定していいのか、C全ての営業所を含めなければいけないか、D設計や購買を別会社がやっているような場合の大きく5つ。@は宣言だけど、AはYes、BはNo、CはNot all but to be all。DはISO9001の成り立ちがその組織の顧客に提供する製品・サービスの品質管理手法なので、部分的にしかカバーされないマネジメントシステムという意味で悩むよね。なぜなら、組織の規模が大きいと(管理責任の所在がつかみにくいので、それぞれが分割されて機能ごとに責任をおき、工場は別会社という場合もある)、管理されているという事業プロセスの実態があるからね。それはそれで認めるべきだと考えなきゃ。顧客に対して提供する製品・サービスに関わる全てのプロセスが、別法人に分かれていても認証されるのがあるべき姿だよね。但し、それぞれの別法人を結ぶインターフェースが重要ですよ。
つまり、設計は設計で認証を取得していて、購買も工場も取得していて、パズルとして抜けたピースはありませんという話でも良いのかどうか。うちは製造だけです、というケースを聞かれたことはないですか。
ISO9001

(図6)

審査員C:
大きい会社であったよ。設計と購買は本社がやっているケースが多い。
審査員B:
設計は本社、って多いよね。
審査員A:
ISO9001

(図7)

AとBについては、図7のような例を挙げてみます。プロダクトXYがあって、XはプロセスとしてSl(セールス)、Ds(デザイン)、Mn(マニュファクチャリング)、YはDsとMnを持っています。
XのDsとMnが適用範囲というのはNGだけど、YはOK。これでよいかどうか。
つまり、X・Yを限定するのはありでしたよね。だけど、Xだけを見たときに、その組織が持ってるプロセスを全部入れなくてはいけないのに、Xは入っていないからNGだけど、YはSlがない前提でDsとMnだから全てが入っている。これはいいでしょ。だからAはYesだけど、Bは責任があるとするとNo。
C全ての営業所を含めなければいけないかというのは、これは簡単に言うと1カ所でもよしとするけれど、全部入れてねって感じですよね。取りあえず認証されるサイトは入れること。プロセスとして入っている限りはいいでしょう。審査員は@、A、B、Cを一応聞かなくてはいけない。Dが問題なんです。大企業では特にいろいろなケースが出てきます。
審査員C:

こういうのは契約時にはっきりしていなくて、審査中に問い合わせを受けることが多いんだよね。本社の設計と購買を審査させてという話は本当は契約時にしなくてはいけない話なんだよな。

審査員A:
ISO9001 工場だけで認証

(図8)

顧客が工場の名前で契約して、工場の名前で注文書をもらっていれば、工場単位の認証でいいかもしれない。だけど、QMSは顧客に提供する製品(プロダクト)、サービスの品質管理なんです。設計もあり購買もあって顧客に車を提供していて、全社の名前で認証取得するのであれば、製造のみでは管理の仕組みのPDCAは回せるのか、という問題が出てくる。さらに、会社側は指揮命令系統、トップマネジメントが単位ですよね。工場単位で取りますと言われたけれど、トップマネジメントを工場にすると、もう設計や購買の権限が及ばなくなってしまうので、認証単位としては適切でないと思うんです。PDCAが回らないという意味でね。これはある意味、EMSも同じかもしれないよね。権限が及ぶか及ばないか。
あるべき論から言うと社長がトップマネジメントというのが望ましいんだけど、その下の階層、例えばカンパニー制のカンパニー長が、いわゆるQMS的なリソース全般の責任と権限を持っていて、PDCAとしては回せるんですよ。だけど、ファンクション的に法人が分かれる場合、横串を通すためには社長をトップマネジメントにするしかないんだったら、カンパニー長をマネジメントする限界がどこかであるわけで、それは対顧客上、本当にPDCAが回せるかという話をするしかないし、全部で1つの認証を取得するとなると大掛かりになるのかと。
審査員C:
工場長が「トップマネジメント」の場合、その権限が及ぼせる範囲となるとどうだろうか。でも営業段階でその整理をするのはかなり大変だよな。
審査員A:
前に相談されて悩んだのは、子会社として製造だけを行う工場で、購買も工程設計もありません、うちは決められた範囲で粛々と製造するだけです、というケース。その分、機能分担している会社で、それはそれで明確なので、サプライヤーのような認証にした。Dについては、機能別にエンティティー(法人、独立した組織単位)が分かれている中で、そのエンティティー単体で、顧客に対して品質管理のマネジメントシステムとして認証する意味があるのか、という思いもあります。組織、エンティティーを束ねないと、プロセス全体の改善が見込めないという仕掛けがある場合、そういう認証を禁止するという条文があるわけではないので、解釈がちょっと微妙になってくる。
審査員D:
Dについては、組織の方からこの範囲で認証取得するといわれたら、もうどうしようもないと思う。
審査員A:
そうすると、せめてDのときには、審査員は1つの限られたファンクションだけのエンティティーでPDCAは限界がある、とするのか、これは必須ですが、情報の受け渡しまでしか審査はできないです。
組織の顧客の目線で、この擦り合わせができれば十分だと思いますけど。
審査員B:
多分そうでしょうね。ISO9001は、顧客満足を実現するためにPDCAをまわすことが前提ですから、この基本に立って、組織のマネジメントシステムを評価していくしかないと思います。
審査員A:
まだ議論は尽きませんが、今日はここで終わりたいと思います。ありがとうございました。




 

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