審査員座談会「ISO9001・ISO14001 2015年版への移行」

その1〜2015年版の変更点、リスク及び機会への取り組み

2017/6/13up

日時:2017年5月2日(火) 9:00 - 10:30
出席者:審査員A(進行役)、審査員B、審査員C、審査員D

※本文中の用語について、下記のように表記します。
ISO14001(環境マネジメントシステム)=EMS
ISO9001(品質マネジメントシステム)=QMS

審査員A:
ISO9001、14001移行スケジュール

(図1)

2016年5月から移行申請が始まって1年ほど経ちます。移行期限が2018年9月14日ですが、審査をしてから認証書が出るまで(不適合の状況により)最大4ヶ月かかるので、逆算すると2018年5月15日までに審査を終えなければなりません。

本日は、
  • 2015年版への移行審査の中で発生した、審査員側の適切な規格解釈と組織側への伝達における課題
  • 審査後のレビュアーチェックにおける、レビュアー間の規格解釈のばらつき
について情報共有したいと思います。

レビュアーの観点は
  • 正しい規格解釈の元に判断されているか
  • 適切に審査がされたか、やり残しはないか
の2点です。

1. 2015年版の変更点について


審査員A:
2015年版の審査の現場で出てくる問題―例えば審査員の解釈にズレがある、組織の理解が及ばない、といったような―はどのようなものでしょうか。
審査員C:
箇条4.1「組織及びその状況の理解」4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」と6.1「リスク及び機会への取組み」が大きく変更になったことは周知されているので、そこを鵜の目鷹の目で審査する傾向が審査員側にあります。リスクだ、機会だ、組織の課題だ、と妙にクローズアップされるので、審査を受ける組織側も構えてしまう。従来の2008年版でもマネジメントレビューなどでやっているはずなので、構える必要はないんですよ。
審査員D:
通常のものづくりの中で、今までは不具合が起こってから改善措置を行っていたが、2015年版では意思決定層で危険予知、先回りをして予防しようというふうに変わっただけ。組織の課題というところでは、従来あまり考慮されていなかった自分たちの活動以外のリスク―例えば流通の問題や災害など―についても考えておくことが求められている。「リスク」というところに過度にナーバスになる必要はないでしょう。
審査員A:
PDCA

(図2)

リスクという言葉が出たからといって普段やっていることがわからなくなるのはまずい。
QMSの2015年版はPDCAの”Plan”が重くなったと思います。EMSでは2004年版から重いと思います。(図2)
箇条7「支援」は概念図としては”Do”に入っているけれど、内容としては”Plan”に入りますね。計画段階が肝で、リスクとかリスクの計画はプロセスの中に反映されるべきでしょう。
(図3)箇条4.4「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」とあるから、注力すべきは箇条4.4と言えます。「外部・内部の課題」については箇条4.4に影響することがあるかという観点で考える。「利害関係者」は要求事項を出す人。「適用範囲」にはやっていることは全て含める、ということ。章立てとして箇条は独立していますが、PDCAが回るのかということで説明すればこの順番の意味が分かりやすいと思います。
リスクと機会の取組の構造

(図3)

リスクは仕事のやり方(プロセス)、または出てきた製品(プロダクト)のどちらかにあることは分解していくと分かります。
組織側ではPlanの過程の中でプロセス絡みのリスクやプロダクト絡みのリスクを何かしら考えて段取っているはずだから、審査員としては枠組みをしっかり理解して審査を進めなくてはならないと思っています。

2. リスク及び機会への取り組み


審査員B:
QMSの箇条6.2.2では「計画するときには評価の方法を決めておく」という要求があります。審査の中で評価が実施されていない事例があったときには不適合を出す候補になると思いますが、この不適合は6.2.2の不適合にはならず、9.1.3の不適合と考えられます。規格の大きな流れでは箇条6.2.2のe)で結果の評価方法を定め、QMSでは9.1.3で評価し、9.1.1で文書化して残すことを求めています。
計画に関連する箇条とその実行に関連する箇条、そして、それを評価、分析し、次の改善につなげる箇条という大きな流れを審査側も組織も認識することが重要ですね。
審査員A:
なお、審査の途上で評価の過程がどのように実施されているかは観点のひとつとなりますが要求事項には、評価の過程そのものを文書化しろという記載は直接的にはありませんね。評価の結果は箇条9.1.1に評価の証拠として文書化した情報を保持とありますが。
しかしながら、評価の方法については、それ自体を見直す必要がある場合もあるわけですから、次の改善につなげるために有効な工夫がされていることがシステムの有効性に大きな影響があると考えられますね。
審査員C:
IRCA(国際審査員登録機構)の解説書によると「組織が体系的なアプローチまたは方法論を首尾一貫した形で効果的に適用していることを確認すること」とある。つまり、リスクをどう取るかということに対して体系的な仕組みがあることを確認しなさいと言っているのですが、この確認の仕方が問題。
箇条4「組織の状況」と6.1「リスク及び機会への取組み」は密接に関連しますよね。課題をどう評価して計画を立てたかというプロセスについての説明がきちんとなされればいいのだけど、記録がない、説明もできないとなると審査員としても困ってしまう。「リスク」「機会」と言われると固まってしまう組織はとても多いです。
審査員A:
評価して計画し実行した結果、もしうまくいかなければ、評価の段階でもっと考えるべきだったというアイデアが出てくる。例えば「あの時は情報源が限られていた」「議論に参加する人が一部の人だったから」などの背景に対して、「情報源を増やそう」「参加する人を増やそう」いう仕掛けができる。計画が文書化していたとしても、誰が集まってどういうネタを元にどういう観点で議論してこうなったのかをプロセス化することで、うまくいく計画を作れるというのが動機。評価の段階で誰がどういう観点で議論して計画が立てられたのかを聞きなさい、とIRCAでは指導している。PDCAを回せる仕組みがあるかどうかが大事なんです。
審査員B:
審査後にレビューする側としては「評価したエビデンスが見られなかった」という1行のみでは判断のしようがない。1回目の審査で有効性の評価をし、改善していかなくてはならないのに、最初に評価した過程の記録が残っていないと、何がダメだったのか分からず、PDCAが回せないのではという評価になってしまう。
審査員C:
50人超規模の組織では何かしらの会議体があって記録が残っているのですが、小規模の会社ではこれがトップの頭の中にしかなくて、課題や困っていること、考えていることはこちらが聞き出さなくてはならない場合が多い。
ただ、記録がないと、トップの考えていることと形になっている計画が違ってしまっている場合が出て来ますね。
審査員D:
50人を超える組織でもそういうところは多いです。中期/長期の課題を聞き出さないと出て来ない。2015年版は「組織のプロセスとの統合」なので、既にあるものを紐付けるだけでよいと思います。
審査員C:
記録したものがあったとしても、経営陣しか見られない資料の一部だったりして、開示できないこともありますね。経営会議で評価しているものを口頭説明してもらって、計画を書面で見せてもらうという方法もあります。
審査員A:
共有するマネジメントシステムは組織全体で共有すべきものであるから、こういったプロセスの記録を透明化する機能はなくてはいけない。審査員の立ち位置としては、その透明化されたものを見せてもらって、その中で審査することになります。
こう考えるからこうすることにした、やった、うまくいかなかった、だからこうしよう、というのが改善。行き当たりばったりの対応では不適合につながってしまいます。
審査員B:
そういう対応は2回目の審査で表面化しますね。




 

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