審査員座談会「ISO9001・ISO14001 2015年版への移行」

その2〜ISO14001環境側面・リスクの捉え方・順守義務

2017/6/20up

日時:2017年5月2日(火) 9:00 - 10:30
出席者:審査員A(進行役)、審査員B、審査員C、審査員D

※本文中の用語について、下記のように表記します。
ISO14001(環境マネジメントシステム)=EMS
ISO9001(品質マネジメントシステム)=QMS

1. ISO14001―環境側面から考える


審査員D:
EMSの方で考えると、リスクと計画の「リスク」が環境影響評価に凝縮されているので、それが今もがっちり中心にあって、そこに外部・内部の課題とかリスクを付け足すイメージ。シンプルでわかりやすい。
審査員A:
審査というのは、組織の活動全般をISOの構造の引き出しに整理整頓してしまっていくイメージ。これがQMSとEMSではマネジメントシステムの目的が違うので引き出しに入ってくる要求事項は異なりますが、目次はだいたい揃ったと言えるでしょう。箇条4「組織の状況」とリスクについての要求事項はだいたい同じ。
レビューをする時も、不適合を審査員が出す時も、この箇条4のシリーズと6「計画」の関係のモデルを頭においておけば、不適合だった場合も組織から話を引き出す時も、これに沿って進めることができる。
審査員D:
環境評価の影響の方で環境側面というのがあって、これがリスクアセスメントに近いです。EMSの2004年版は著しい環境側面とそこから生じる著しい環境影響をどう確実にコントロールするかというのが規格の骨子です。著しくないものは極端に言えばノーケアでよい。
「著しい」ということはみんなネガティブに考えるのだけど、それは間違い。著しいというのはsignificant=重要、ということ。重要には
  1. 法的要求事項に直接該当しているからちゃんとしなければならないという重要
  2. 漏洩などすると環境悪化するので重要
  3. 大量使用、コントロールの必要性、という重要
という3つのイメージがあるので、漏洩などのネガティブイメージばかりではなく、省エネとか省資源といった一概にネガティブとはいえない内容も含まれます。ネガティブではないがmandatory(必須)である法的要求事項などもEMSではリスクとなります。
審査員A:
今回の規格の改訂によって追加された「リスクと機会」には、今までどおりの活動をやっていれば必ずEMSの中でリスクと機会の説明ができるものと、15年版のリスクと機会の定義によってはプラスアルファの新しい活動も入れなくてはいけないものとがあると思いますが、これについて審査員が気をつけていること、レビュアーが気をつけていることは何でしょうか?
審査員B:
「組織に影響を与える可能性がある環境状態を含む」(箇条4.1)とは今までになかった。天災など、組織ではどうにもならないようなことから派生する側面ですね。
審査員D:
EMS目的・目標と維持管理

(図1)

今までどおりの活動を行っている部分について、それは大きく変わっているとは私は思っていません。ビューローベリタスは以前からこの考え方(図1)でやっているのでわかりやすいんです。著しい環境側面で改善ができるものは目的・目標で改善しなさいと。これ以上できない、レベルが到達しているという場合にはしっかり運用管理してください、ということ。これがEMSを審査する人の頭に入っていれば大体ぶれない。
EMS2004で環境側面でボイラーを例に挙げると、改善点は箇条4.3.3(計画)で展開し、確実な運用は箇条4.4.6(運用)で実行し、緊急事態は箇条4.4.7(緊急事態)で対応します。ちゃんと省エネして改善しましょう、というプロセスと、それ以上できないからちゃんとボイラーの運転管理をしましょう、という話になります。この図にはありませんが、リスクマネジメントとしては漏洩とか流出など緊急事態の対応、というのも4.4.7には出てくるので、一つの側面でも3つの考え方がある。2004年版では「緊急事態」を環境側面の中に入れるという概念がなかったが、2015年版では環境側面の中に入れるとされた。ビューローベリタスは従来から当然と思って実施していたことです。これまで、このように考えていなかった組織は、追加要求となると思います。

2. ISO14001―リスクのとらえ方


審査員D:
何をリスクとするか、というところで困ることも多いですね。
一同:
(同意)
審査員D:
私の認識でいうと著しい環境側面(リスク)はサイトでは現場にあるものからしか出てこないケースが多いと思います。たとえば重油タンクなんかの現物が目の前にあれば、漏洩のリスクが考えられますが。
審査員C:
たとえば水産で言えば漁獲量が減っているとか。
審査員D:
直接的に自分たちのサイトにない外部のものをどうリスクとしてとらえるかが難しいところ。
審査員A:
将来のリスク

(図2)

時間軸で考えると、過去の結果があり、将来がある。3年後、10年後、と考えると、可視化されているものから将来のリスクは読み取れるはず。(図2)
QMSも同じですが、先を見込んで、このまま行くとこうなるから何か手を打たないとね、というのがこの時間軸の中に盛り込まれるはずだから。
審査員C:
2015年版としては、QMSよりEMSの方が変化が少ないよね。
審査員A:
いや、世の中ではEMSの方が大きく変わったといわれています。というのも、コミュニケーションが双方向になったり、新しい概念が入ってきているでしょ。EMSでも審査員の解釈、組織の理解もまだまだ発展途上だから、ここを整理していかないといけないね、レポートもちゃんと分かるように書いてね、という組織への説明や、ちゃんと組織から話を聞かないといけないね…とおぼろげながらみんな思っていることを、モデルを作って審査員の間で共有し、再確認することが私たちの課題ですね。

3. ISO14001―順守義務


審査員D:
「順守義務」がEMSの規格として多々書かれている。今までだと4.3.2と4.5.2にしかなかったのに、あちらこちらに見られるね。
審査員C:
順守義務についても、ビューローベリタスの従来からのお客様は改めて右往左往する必要はない。
審査員D:
従来どおりで全然問題ない。それから、事業プロセスの統合というところ。EMSの場合はOHSAS18001(労働安全)と一緒にやるところが多い。法律がダブっているところもあるので、特に大手組織では、法的要求事項の一覧表や関連法規を「HSEの法令一覧」のようにまとめて運用している。
審査員C:
法令の最新版についてはお客様によって知識の差がありますね。
審査員D:
その点については、結構不適合を出しているんですよ。
審査員C:
法令の変更事項をインフォメーションしてくれないの?とよく聞かれます。フロンガスみたいなよほどのメジャーアップデートなどがあればチラッと教えてあげたりはします。
審査員D:
同じ組織内でも知識の差があって、本社の方では情報共有しているけど工場までは情報が伝達していないケースもあります。
審査員としては最低限、環境省ホームページを調べて行く、環境関連法規法令集を持っておく、などの努力は必要。
審査員B:
本だけでなく検索のできるような電子媒体もいいね。
審査員C:
フロン、廃棄物などであったようなメジャーな変更は最低限チェックしておく。
審査員D:
審査員は法律の専門家ではありません。組織の実業務に携わっている人の方がそれに関連した法の知識は審査員よりはるかに上なわけです。我々は最新版の情報を入手する仕組みがあるか、それがアップデートされているか、という視点で審査しています。
審査員C:
2015年版は特にそういうところ―プロセス、仕組、ルール、約束。誰がいつどうやってみているのか、2015年版に基づいて動いているか―が重要。
審査員D:
課題が何があって、どんなことを考えなくちゃいけないのか、中長期的に何を行うのかという視点が2015年版は明確になってきたので、今まできちんとやっていたところとそうでないところとで差が出てくる。



 

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