審査員コラム「問題認識の視点」

ISO9001/ISO14001/OHSAS18001 主任審査員 土屋 通世

2014/6/13up

先日、成田空港のヘリコプター発着場(以下「発着場」)を移転する計画が報じられました。現在の発着場は航空機の移動路付近にあり、ヘリコプターの発着と航空機の移動が重なると衝突の恐れがあるため、ヘリコプターが発着する間、航空機の移動を一時停止しているそうです。今後、成田空港における航空機の発着便数増加を考慮し、安全確保のために移転が必要になったという報道でした。また、発着場はドクターヘリ等でかなりの頻度で使用されているとのことでした。

この話を聞いて、ああ、そんな事情か。安全対策への配慮をちゃんとやっているねと感じる人もいるでしょう(ケース1)。一方、そんな危険があることは発着場建設を計画した時点でわかっていたはずで、なぜその時点に気付かなかったのかと感じる人もいれば(ケース2)、計画時点で設計担当者は気付いていたのに計画に盛り込まれなかったのかなと感じる人もいるでしょう(ケース3)。

これを、問題認識の視点という観点から考えてみましょう。問題と認識する・しない、ということは、問題なしと判断するある基準を満足しているか・いないか、ということですが、それぞれのケースはどういう点を問題と認識しているのでしょうか。

ケース1は、航空機発着便数の増加という運転条件変更に対する安全性の評価と、条件変更への対応ができているかを基準としていることになるでしょう。
ケース2は、設計条件にニアミスの危険性が取り込まれていたのかという設計条件項目の適切性や、設計レビューの有効性の問題を基準としています。
ケース3は、システムを運用する人の問題を基準としています。
またこの他に、従来の発着便数においてでも、発着場の使用に際して航空機運用側とどのような連絡がとられ調整されていたのかという調整手順システムの問題も気になります。

このように性質の異なる複数の問題があるのですが、このような問題を議論する際に、それぞれを別の問題として識別せずに、ごっちゃにしていることが日常よくみられます。

これら視点の違いをきちんと認識することは、根本の問題を解いて行くために非常に大切なことですが、そのための教育や訓練が従来ほとんど実施されていないと感じています。

企業を取り巻く環境が大きく変化する現在、問題を認識する視点を明確にして議論するという教育は、今後ますます必要になるのではないでしょうか。ISO規格に基づくマネジメントシステムの審査においても、このような問題に気付いていただけるような努力が必要ではないかと思っています。

 

お問い合わせフォーム

 

お見積り依頼はこちらから

 

認証機関の変更をご検討ですか

 

フライヤー・パンフレットをダウンロード

 

開催予定一覧はこちら

 

関連ニュース

 

関連サービス