審査員コラム
「効果の上がるISOマネジメントにするために−人間をもっとよく理解しよう−」連載第2回

ISO9001/ISO14001 主任審査員 寺澤 壯一郎

2014/8/1up

ISO審査員として数多くの審査を担当してきた中で、マネジメントシステムそのものの運用に問題は無いものの、もう一工夫として「人」に注目するとより導入効果を得られるのにな、と感じる組織に接する機会が何度かありました。
そこで本連載では、既に知られている様々な行動科学のコンセプトの中で、マネジメントシステム及びパフォーマンスの改善に繋がると考えられるものをご紹介します。(毎週金曜日掲載)

どんな仕事でも、自分が支配している限りは愉快であり、自分が服従している限りは不愉快だ。
電車の運転手は、バスの運転手に比べると幸福ではない。
アラン(幸福論)


(2)ダグラス・マグレガーの「X理論とY理論」からZ理論へ
ダグラス・マグレガーは働く人間の本性について2つの見方があることを示しました。すなわち「人間は生まれつき仕事をしたがらないから、アメとムチで働かせる他ない」とする人間性の解釈をX理論と呼び、一方、「人間は生まれつき仕事を好むものであり、大いに自主性を発揮させるべきである」とする人間観をY理論と呼びました。

<X理論は以下の考え方を前提としています(性悪説)>
@ 平均的な人間にとって仕事は嫌なものであり、できるならやりたくないと思っている。
A そのため、強制や命令や時には処罰の恐れがなければ企業目標達成に向けて十分な力を発揮しない。
B 平均的な人間は命令される方を好み、自分から責任を取ろうとしない。あまり野心を持たず、何よりもまず安全を望んでいるものである。

<Y理論は以下の考え方を前提としています(性善説)>
@ 仕事で心身を使うのは当たり前のことであり、遊びや休憩の場合と変わりはない。
A 進んで身を委ねた目標のためには己に鞭打って働くものである。
B 献身的に目標達成に尽くすかどうかは、それを達成して得る報酬次第である。
C 条件次第では責任を引き受けるばかりか、自ら進んで責任を取ろうとするものである。
D 組織の問題解決に向けて、比較的高度の想像力を駆使し、創意工夫をこなす能力はたいていの人間に備わっているものである。
E 現代の組織社会において、構成員の知的能力は日常的にごく一部しか生かされていない。

マグレガーは現在の社会では、Y理論をもとにマネジメントを行うべきであると主張しましたが、その後、X理論とY理論には矛盾点があるという批判に応え、一歩進んだ理論を開発し、この理論を「Z理論」と呼びました。これは、人間は経済的安定を確保すると金銭的報酬の重要性が低下し、称賛や尊敬を勝ち取ること、成功や自尊心を重視するようになるという考え方です。
その後、ウイリアム・オオウチが「新生Z理論」として「セオリーZ」を上梓し、日本的経営の特徴である「終身雇用」「コンセンサス重視」「集団責任制」などが働く人に高い生産性と動機づけをもたらすと説きました。

次回はクリス・アージリスによる「やる気」の研究を紹介します。

(続く/本連載は毎週金曜日に掲載します)
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