審査員コラム
「効果の上がるISOマネジメントにするために−人間をもっとよく理解しよう−」連載第4回

ISO9001/ISO14001 主任審査員 寺澤 壯一郎

2014/8/15up

ISO審査員として数多くの審査を担当してきた中で、マネジメントシステムそのものの運用に問題は無いものの、もう一工夫として「人」に注目するとより導入効果を得られるのにな、と感じる組織に接する機会が何度かありました。
そこで本連載では、既に知られている様々な行動科学のコンセプトの中で、マネジメントシステム及びパフォーマンスの改善に繋がると考えられるものをご紹介します。(毎週金曜日掲載)

どんな仕事でも、自分が支配している限りは愉快であり、自分が服従している限りは不愉快だ。
電車の運転手は、バスの運転手に比べると幸福ではない。
アラン(幸福論)


(4)フレデリック・ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」
フレデリック・ハーズバーグは、人間の欲求について、「@苦痛や欠乏状態を避けたいという欲求」と、「A精神的に成長し、自己実現を求める欲求」とは、独立した全く別のものであることを発見しました。
「@の不快回避欲求を如何に充足させても、人間は不満足感が減少するだけで、なんら積極的満足感を増加させることはなく、またAの自己実現欲求を充足すれば積極的満足感を増加できるが、例えこの欲求を充足できなくても積極的満足感が減少するだけで必ずしも不満足が増加するわけではない」と述べています。
積極的満足を生む5要因(何かを達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進)は職務を通して精神的成長並びに自己実現を可能にし、真に人間を動機づける要因となるため、これを「動機づけ要因」と呼びました。一方、不満足を解消しうる5要因(会社の方針と管理、監督技術、給与、仕事上の対人関係、作業条件)は真に人間を動機づける要因にはならないが、職場に発生する諸々の不快な状況を取り除き、良好な環境を維持する可能性を持つため「衛生要因」と呼ばれています。
要するに賃金、福利厚生、管理・監督者の態度などについて、会社が十分な措置を講じないと社員の間に不満がはびこり、欠勤・退職や能率低下などを招くことになりますが、さりとてこれらに十分に手を打っても、不満がなくなるだけであって、それ以上の意欲増進には役立たないという訳です。それ以上に社員を動機づけるためには、仕事そのものの考え方に配慮し、責任の幅を広げ、腕をふるう余地を大きくし、やりがいが感じられるようにしなければならないと説くのです。

これまで4回にわたり、マネジメントシステム及びパフォーマンスの改善に繋がると考えられる行動科学のコンセプトを紹介してきました。コンセプトの紹介は今回で終了となります。
いったんお休みを頂いた後、筆者のISO審査経験をベースに、組織内で見過ごされがちな課題、仕事の質を向上させる上で障壁となっている問題の改善につながるヒントを、行動科学を絡めながらお伝えする予定です(9月に連載再開予定)。

 

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