審査員コラム
認証範囲について<その1>認証範囲の記載方法
主任審査員 歌門範幸
2017/8/2up
認証決定のプロセスにおいて、認証範囲(スコープ)というのは、実は数多くの問題が発生している項目です。
今回は具体的な事例を用いて、何が問題なのか、認証書に認証範囲をどのように記載するかについて解説します。
1. マニュアルの適用範囲よりも認証範囲の方が広いケース
■例1
品質マニュアルに『自動車用金属部品の製造』となっているのに、認証書の認証範囲が『自動車及び船舶用金属部品の製造』となっている。
⇒ 認証範囲の方が、適用している範囲より広くなってしまうので、このようなケースは認証が認められません。
■例2
設計開発を適用除外しているが、認証範囲に『設計開発』を入れたい。
⇒ もちろん、このようなケースも認証が認められません。
2. 認証範囲の表記が誤解を招くケース
■例A 認証範囲:ガラス製品の製造
■例B 認証範囲:ガラス製品の製造、保管、梱包、出荷サービス
AとBではどのような違いがあるのでしょうか?
これは非常によくあるケースで、メーカーの場合、通常卸売りを含めた販売業務も行っていますが、他社製品を仕入れ販売する商社機能がない場合は、「〜の製造」とだけ記載するのが正しい認証範囲となります。
従って、
⇒ 自社で製造したガラス製品のみを保管、梱包、出荷している場合はAの表記
⇒ ガラス製品の自社製造、保管、梱包、出荷以外に、他社で製造したガラス製品を保管して梱包、出荷するサービスを行っている場合はBの表記
となります。
認証範囲を認証機関に申請する際は、これらのポイントに留意していただければと思います。
また、審査を受ける際も同様に、実際の業務と認証範囲が合致しているかをご確認いただけると、その後の認証決定までがスムーズに行われるはずです。
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