審査員コラム
是正処置の有効性レビュー

主任審査員 伊藤 康雄

2019/9/9up

はじめに

是正処置の有効性レビュー | ISO認証機関 ビューローベリタス

品質(ISO9001)・環境(ISO14001)等、ISOのマネジメントシステムでは、“是正処置”が要求事項になっており、“是正処置”には“有効性のレビュー”が求められています。ISOの認証を取得している組織で、“是正処置”を一度も実施したことのない組織は恐らくないでしょう。それだけ“是正処置”はISOの認証活動のなかで身近なプロセスであり、かつ重要な事項であるといえます。
しかしながら、私の審査経験では、“是正処置の有効性レビュー”がうまくできず、結果として不適合を指摘することが少なからずあります。このコラムでは、そうなる要因と、より有効な活用について述べてみたいと思います。

1. 是正処置 有効性レビューの目的

なぜ是正処置の有効性をレビューしなければならないのか、それは発見された「不適合」が再発しては困るからです。“有効性”の定義は、ISOの9000:2015では「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度」とあります。ここで言う“計画した活動”とは、“是正処置”であり、その定義は、「不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置」とあります。
ということは、是正処置が有効かどうかの判断基準は、原因が除去されて再発が防止されたかどうか、という点です。同じ不適合が再発しなかった時に、初めてその是正処置が有効であったといえるのですが、実際にはそうでない組織が多いのです。

2. 有効性レビューに関する思い違いの例

有効性レビューについてよく理解されていない例として、時として以下のようなものが見られます。

(1) 是正処置を計画した時点で有効かどうかを判断している
是正処置を実施する場合、その処置を実際に実施する前に社内の会議等で議論して、結果として「これは有効である」と判断しているケースです。
ISO9001:2015の要求事項でも、10.2.1項では
  1. c) 必要な処置を実施する
  2. d) とったすべての是正処置(英文では “any corrective action taken”)の有効性をレビューする
とあります。これは、明らかに“処置を実施した後にレビューする”と読めます。もちろん、計画時に「これは有効であろう」と判断するのは間違っていません、というより誰でもそうするはずです。しかし、本当に有効だったかどうかは、実際にやってみないと判断できないでしょう。実施する前に「これで大丈夫だよね」というのは「有効性のレビュー」ではなくて「妥当性の判断」ではないでしょうか。
(2) 是正処置が定着していることをもって「有効」と判断している
例えば、製品品質の不適合に関する対策として、不具合のあった作業の手順を変更し、手順書を改訂、作業者にも教育を行い記録も残すようにし、さらに再度確認する工程を追加したとします。それをある期間継続し、ある日作業現場に確認に行ったら、そのとおりに実施されていたことをもって、是正処置は有効と結論付けているケースがあります。
しかし、場合によっては、とった処置が不十分だったり気付かなかった要因があったりして、不適合が再発する可能性もないとはいえないでしょう。是正処置の確実な実施・定着を確認することは、“必要条件”であっても“十分条件”ではありません。最終的に不適合の再発がなかったことの確認はやはり必要です。

3. “再発”の定義とは?

是正処置の有効性を判断するのは、“同じ不適合の再発の有無”で判断することになりますが、何をもって”再発“とするのか、審査の際に質問されたことがあります。これはなかなか難しい問題で、製造業における製品品質に関する不適合の是正処置を例にとれば、同じ製品で同じ不良が発生した場合はわかりやすいのですが、異なる製品の、同じではないが類似の不良に対しては判断に迷う場合もあるでしょう。ましてや、製造以外のプロセスで発生した場合等、線引きに困る例もあります。
「再発」の定義の仕方は業容や発生の形態によっていくらでもありますが、一つの目安として、起こった不適合の対象や現象が全く同じでなくとも、“原因と、それに対する是正処置が同じになった場合”、それは再発と言えるのではないでしょうか。

4. いつ有効性をレビューするのか?

再発の定義とも関連しますが、「再発の有無をいつ判断すればいいのか」ということもよく聞かれます。単純に考えると、「不適合が発生した条件と同じ状態であるのに、ある期間、同じ不適合が再発しなかった」ということが確認できればよいと思います。これは、プロセスの種類や不適合の発生頻度、発生するための条件等によってまちまちです。製造業では、一律に「処置完了後3か月経過時に判断する」などと決めている例もありますが、根拠が明確であれば問題ありません。また、一覧表を作成して、1年毎にその年の再発の有無を確認し、「ここからここまでは再発がないから有効だね」と判断している組織もあります。この辺はいろいろ工夫する余地があるでしょう。

おわりに

ISO9001の2015年版では、是正処置の必要性を判断する際、“類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする”ことを新たに要求しています。まさしく、「再発かどうか、再発の可能性があるかをはっきりさせろ」と言っている訳です。これはとりも直さず、有効な是正処置を取れということですが、「要求事項が増えたからやりましょう」ではなく、“有効”なレビューの仕組みの中で、うまく活用されてはいかがでしょうか?

とまあ、勝手なことを書いてきましたが、皆様の活動に、これらの内容がいくらかでもお役に立てれば幸いです。


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