新クレジット制度の動向について

2012/6/28up

今年の4月から6月にかけて、「新クレジット制度のあり方に関する検討会」が3回にわたって開催され、これまで別々に実施されてきた国内クレジット制度、オフセット・クレジット(J-VER)の両制度が、2013年4月以降統合される見込みとなった。

新制度の構築にあたっては、
・現行の両制度の優れている点を取り入れ、相互補完し、多様な主体が参加できるようにする。
・環境の観点から見て信頼が得られるものとすると共に、使いやすく適用範囲の広い利便性のある制度とする。
・地域資源の活用による温室効果ガス削減に向けた地域の取り組みやクレジットの地産地消を後押しし、
 地域活性化に繋がるような制度とする。
・国際的にも評価され、海外における取り組みにおいても参考とされるような内容となることを目指す。
ことを踏まえ、新制度の基本的な考え方が発表された。

以下が、その概要である。

国内クレジット制度・J-VER制度と新クレジット制度における基本的な考え方の比較
項目
国内クレジット制度
J-VER制度
新クレジット制度に
おける基本的な考え方
実施主体
自主行動計画の参加者以外 制限なし 制限なし
ただし、低炭素社会実行計画参加者がクレジット創出者になる場合等では、創出クレジットの活用先に制限を設ける等の措置の検討が必要。
買手との
共同申請
事業申請時に創出クレジットの買い手を決めておく必要あり。 市場を通じて第三者に流通する仕組みなので、クレジット購入者が決まっている必要なし。 各プロジェクト事業者の判断に任せる。
クレジット
の用途
カーボンオフセット、温対法、自主行動計画、試行排出量取引、省エネ法 カーボンオフセット
温対法
低炭素社会実行計画やCSR活動やカーボン・オフセットへの活用を含め、現行の活用先は維持される制度とすべき。(ただし、ダブルカウントの発生がないよう調整)
吸収
プロジェクト
非対象 対象 記載なし
新設
プロジェクト
標準的な機器(機器の普及状況や経済性等を踏まえ、一般的に導入されるであろう機器)をベースラインとすることによって、その差分をクレジットとして認証している。 認めていない。 事業規模や内容、導入される機器の用途、事業実施地域の特性、燃料の調達可能性、技術動向等を踏まえつつ、投資インセンティブ及び保守性の観点からベースラインとして適切な機器やその効率等を設定した上で、設備の新設に関する方法論も認めるべき。
MRV
(排出削減量の
算定・報告・
検証)の方法
ISOを参照している。 ISOへの準拠性を厳格に追及。 ISOを視野に入れた制度設計や信頼性の高いMRV手法の確立が必要。
モニタリング
方法
ガイドライン・各方法論の記述は簡略。(検証機関・検証人の判断に委ねられる部分もある) ガイドライン・各方法論に詳述されている。 記載なし。
審査機関
ISO14065に準拠しない。 ISO14065の認定又は認定申請受理を妥当性確認機関及び検証機関の要件とする。 審査機関の要件をISO14065認定取得済とすべき。
ただし、14065認定取得には一定の期間や経費がかかることを踏まえ、認定申請中でも認める等の経過措置を講ずるべき。
審査員
制度
あり
(平成24年5月末現在、8名登録)
なし なくなると思われる。(審査員個人では、ISO14065認定の申請が出来ないため)
運営体制
運営・方法論の承認・クレジット認証を1つの委員会で運営 3つの委員会で運営
・運営委員会
・認証委員会(事業登録・クレジット承認等)
・技術小委員会(方法論の審議等)
2つの委員会で運営
・制度運営や制度全般のあり方、方法論評価を行う委員会
・プロジェクトの承認・認証を行う委員会
追加性
の判断
  ポジティブリスト方式(*1) 投資回収年数が長い設備には、ポジティブリスト方式を採用すべき。(ポジティブリストに掲載される方法論については、定期的な見直しが必要)
ポジティブリストに掲載されていない設備は、従来通り、投資回収年数等により、追加性を判断。
系統電力の
排出係数
移行限界電源方式(*2) 移行限界電源方式(*2) 移行限界電源方式(*2)
制度期間
〜2013年3月末日 〜2013年3月末日 2013年4月
〜2021年3月末日
出典:政府発表資料を元にビューローベリタスジャパンが作成
(*1)積極的に促進支援すべきプロジェクト種類の一覧(ポジティブリスト)をあらかじめ策定し、
  一定の条件(適格性基準)を満たすプロジェクトを登録する方式であり、これにより、ここの
  プロジェクト事業者による追加性の立証を代替するもの。
(*2)一定の移行期間を設定した上で、限界電源排出係数及び全電源平均排出係数を併用する方式。

今回の検討会においては、ある程度の方向性が示されたが、まだいくつかの事項が公表されていない。
まず、J-VER制度にあった吸収プロジェクトの取り扱いである。新クレジット制度から独立した制度になるのか、それとも新クレジット制度の中で運営されるのか、確認が必要である。
また、制度文書及び類似方法論について整理することが述べられているが、具体的な方法については何も説明がない。方法論の重複があること、ポジティブリスト方式化を推奨していることからも、両制度の方法論の整理・見直しが行われるものと想定される。

なお、登録済プロジェクトの取り扱いについては、検討会では、
・新クレジット制度の事業承認は新制度の下で承認された方法論によって行うべき。
・事業者の意思表明等により、現行の方法論に従って承認された事業であっても、新制度において継続が
 認められる手続きを用意すべきである。ただし、クレジット認証に事業の実態を適切に反映させる観点
 からは、事業計画に対する承認に一定の有効期限を定めておき、有効期限が到来した事業については、
 ベースラインの見直しを行うことが適切であり、具体的な期限等については、今後検討が必要。
・国内クレジット・J-VER制度において発行されたクレジットの有効期間は、2020年までとすることが
 適当であると考えられる。
と説明されている。

現在、国内クレジット・J-VERの両制度とも審査費用の補助をすることにより、プロジェクト登録数の下支えをしている他、国内クレジット制度では、一般社団法人低炭素投資促進機構による「温室効果ガス排出削減量連動型中小企業グリーン投資促進事業」による助成金制度(事実上のクレジット買取制度)により、プロジェクト申請を行いやすくしている。
今後については、国内クレジット・J-VER両制度において、これまでに承認された約1,200の排出削減事業の一定期間の期限延長がなされ、さらにプロジェクト実施期間を延長する場合には、事業の適格性の審査(第三者機関による審査または事務局による簡易チェック)が行われるものと想定される。


ビューローベリタスはこれらの展開を注視し、これからも皆様に最新情報をお届けしてまいります。
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